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FASHION

【連載】カルロ黒部の
GENTLEMEN’S STYLE
第17回 エマヌエーレ・フィリベルト・ディ・サヴォイア皇太子殿下

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イタリア旧王家伝統の華麗なるホワイトタイスタイル

「カルロ黒部のGENTLEMEN’S STYLE」第17回目はエマヌエーレ・フィリベルト・ディ・サヴォイア皇太子殿下(SAR Emanuele Filiberto di Svoia, Prince de Venise et de Piemont)にご登場頂きます。


 
モナコ公国国家元首のアルベール2世が総裁で、畑中由利江さんが日本支部代表理事を務める慈善団体アミチエ・ソン・フロンティエール・インターナショナル・ジャポンの第1回ファンドレイジングパーティー(チャリティーガラパーティー)の主賓として初来日されたイタリア王国の旧王家エマヌエーレ・フィリベルト・ディ・サヴォイア皇太子殿下にお会いして参りました。

イタリアは第2次世界大戦後、王政廃止で共和国制に移行しますが、イタリア王国最後の国王ウンベルト2世がフィリベルト皇太子殿下の祖父であり、ヴェネツィア公及びピエモンテ公の爵位・王位継承権をお持ちになられています。

晩餐会を前にしたホワイトタイの正装でまず目に飛び込んで来るのが、グリーンのサッシュと胸に付けた勲章(デコレーション)です。これはイタリア王国の初代国王ヴィットリオ・エマヌエーレ2世の肖像画と同じスタイルです。

勲章の布製の部分を「綬(じゅ)」と呼びます。右肩から左腰に斜めに掛けているグリーンの布を「大綬(サッシュ)」と呼び、先端のリボンに一等級の勲章を付けます。首元に細長いリボンで吊るす勲章は「中綬」と呼びます。

テールコート(燕尾服)、ダブルブレストのウエストコート、フォーマルシャツ、ホワイトタイはナポリのLUIGI BORRELLI(ルイジ ボレッリ)のビスポークで、内側には赤に白十字のサヴォイア家の紋章が付けられています。

Vゾーンの「中綬」は、サヴォイア家の紋章である赤に白十字、王冠、マルタ十字で構成された勲章です。マルタ十字はキリスト教の騎士修道会、聖ヨハネ騎士団の象徴で第1回十字軍の頃からあるシンボルです。

8つに分かれた先端は、騎士道における「8つの美徳」を表わしています。「忠誠心」「敬虔さ」「率直さ」「勇敢さ」「名誉」「死を恐れないこと」「弱者の庇護」「教会への敬意」ですが、この中の「弱者の庇護」は、今回のファンドレイジングパーティーへのご出席など、フィリベルト皇太子殿下の今日まで続く騎士道精神の表れだと思います。

ホワイトタイ用のシャツはウィングカラーが一般的ですが、ラウンドカラーにすることで黒いリボンの収まりが良く、「中綬」をより引き立てています。またホワイトタイとウエストコートはシルクではなく、このように白のコットンピケ素材が正式です。

 

 

左胸に付けられた勲章は祖父であるイタリア王国最後の国王ウンベルト2世から譲られた約300年の歴史があるものです。

上がサヴォイア伯国の「最も神聖なるアヌンツィアータ勲章(Ordine Supremo della Santissima Annunziata)」です。1362年サヴォイア伯国の君主アメーデオ6世サヴォイアによって創設された騎士団勲章です。1861年初代イタリア国王に即位したヴィットリオ・エマヌエーレ2世により、イタリア王国における最高勲章として制定されました。

下がサヴォイア公国の「聖マウリッツィオ・ラザロ勲章(Ordine dei Santi Maurizio e Lazzaro)」です。聖ラザロ騎士団とサヴォイア家の有する聖マウリッツィオ騎士団が合流して、1572年に成立した修道騎士団勲章です。十字の端が三つ葉の形をした「クロス・ボトニー」が特徴で、グリーンのサッシュの先端にも付けられています。

旧イタリア王国では、最高勲章「最も神聖なるアヌンツィアータ勲章」を叙勲するには、先に「聖マウリッツィオ・ラザロ勲章」を叙勲していることが条件でした。この2つの勲章を付けていることで、他の多くの勲章を付ける必要がないのです。

シューズはSANTONI(サントーニ)のブラックカーフのダブルモンクストラップです。

「洋服を着る際は、トラディショナルとモダニティを大切にしています」「Made in Italyのクオリティを大切にするために、認定基準のプロジェクトに取り組んでいます」と語られるフィリベルト皇太子殿下だけに、身に着けるものにもイタリアの製品に対する愛情や、今日性を感じました。

ファンドレイジングパーティーの主賓としてご挨拶されたフィリベルト皇太子殿下のお言葉は、ご自身も慈善団体を主催して各国を支援されているだけあって、震災に見舞われた方々を気遣う大変温かいものでした。

また今年は「日本イタリア国交150周年」の記念すべき年です。両国の友好がますます深まることを祈念しております。

Text:Carlo Kurobe

カルロ黒部
カルロ インターナショナル代表 ファッションコンサルタント ファッション評論家。1958年外交官子弟として駐 インドネシア日本大使館で誕生。1983年オンワード樫山入社後、メンズ企画部門を歩む。2014年同社退職後、カルロ インターナショナル設立。国内外のファッション企業のコンサルティングおよびPR業をはじめ、ファッション評論や公演で活躍中。



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