美の定義から恋愛まで。 編集makikoが開眼した"清川イズム"とは。
こんにちは、FORZA編集makikoです。好評を頂いた、高橋龍太郎氏との対談<高橋龍太郎×清川あさみ「アートと人間と男と女」>後、今度は清川あさみ氏ご本人との対話を実現。彼女の澄んだ瞳にどぎまぎしながら、アートのことからご自身のこと、さらには私の恋愛相談まで幅広くお答えいただきました。
物事を透かして客観視する、ダイナミックな"清川イズム"をご堪能ください。
編集makiko(以下makiko):高橋先生との対談では作品と男女についてお話しを伺いましたが、ここからは清川さんご自身について掘り下げるとともに、もっと女子トークでお願いします(笑)。いきなりですが清川さんはFORZA世代をどう捉えていらっしゃいますか。
清川あさみ(以下清川):35歳~45歳というのは世代的には一番勢いがある世代ですよね。エナジーが漲って、お仕事に燃えている気がするけど。でもほんと人それぞれだけど。
それに、年代的に20代からは憧れの目線で見られていると思いますね。やっぱりおしゃれって私引き算だと思っているんですよ。引き算が上手な人が、一番自分を分かっているということなんで、「自分を分かっている=人に迷惑をかけない」ことだと思うんです。そういう意味ではそこのバランスが上手い人がFORZA世代がこれから求められる人物像なんじゃないかって思いますね。自分を知ってる人だとか、知っててもさらに挑戦したいという気持ちが若干ある人に女性は惹かれるんじゃないかなって思う。

makiko:すごい考察、洞察力ですね。
清川:洞察力で生きてますから(笑)。
makiko:清川さんはもともと読者モデルだったんですよね。上京後原宿でスカウトされて。
清川:出身は淡路島で、そこでは油絵とか普通の絵を描いてたんですけど、上京した時に道具を全部捨ててしまったんです。上京した日にスカウトされて雑誌とかメディアに出るようになりました。当時、一般の子がレギュラーで雑誌に出るとかあんまりない時代だったんです。
読者モデルって基本的にライフスタイルなどが問われたりするのでお洋服とかメイクもほぼ自前。例えば、自分をどう見せたら素敵に見えて、読者の人が反応してくれるかというのを常にみんな考えていたと思います。
それに女性ばかりの現場だからいろいろな欲とかが渦巻いたりしていたりして。19〜21歳くらいの子達が必死にやっていて、私もその中にいたんです。一番過敏な時期をそうやって過ごした事、あとは淡路島で育った事で培われた洞察力が鋭くなったのかもしれないです。

makiko:清川さんの美女採集って写真に刺繍したり何かしら飾りますよね。デザインにはそれぞれ意味があると思うんですけど、好きでない人には好意以外のものを込めたりするんですか。
清川:それは全くないです。興味があるから採集するので。コンセプトに「毒」はあると思います。裏に見えない「毒」があるから女の子って可愛いし魅力的だと思うんです。
だから私はそれを表現したいと思っているんです。その人がマイナスに思っているかもしれない所や、世の中からこういう人だと思われているイメージをポジティブに、とにかく美しく魅せる作品です。
makiko:見えているものと中身って違ったりしますよね。女の人も男性の外見から滲み出てくるものをみているような。例えば、目の光り方や開き方とか、顔の上がり方って、生活や充実度が如実にでますよね。
清川:makikoさんおいくつですか?
makiko:32歳です。
清川:だからきっとそういう視点を持っているんでしょうね。20代の女子はまた違う視点を持っているし、大人になっていくと山本さんと同じでその人の肉の付き方から、骨格から、肌などいろんな角度で何かを見る事が多いかもしれないですね。

makiko:経験値が蓄積されて、パソコンみたいに瞬時に解析されていくんですね。
清川:経験で見る部分と客観的な外見と両方あると思うんだけれど、いろんなデータを組み合わせて「こういう人はこうなんだ」って見えてくるものがあって頭の中で情報が処理されていく。大人って男女の「合う合わない」に関する答えって早いじゃないですか。
makiko:そうなんですよね。でも私事ですが、男女に関しては全く初心者かもしれません。今まで失敗し続けるのは何ででしょうね。男性に対して変な幻想があるからですかね。
清川:えーっと(汗)、失敗はなんでするのかな。
makiko:盲目になっちゃうんです。相手の言葉を完全にそのまま信じちゃうんですよ。そして後になって分かるんです。「結婚してない」っていっていたのに「結婚してたじゃん!」みたいな。
清川:それは大変でしたね…。普通に40代以降の男性はだいたい結婚してると思っていた方が良いですよ(笑)もちろんしてない方もいますけど。
makiko:そうですね。こういかなくて済みますもんね。(脇目も振らず、のジェスチャー)
清川:結婚してない場合も、人それぞれありますしね。もしかしたらほんとに恋人を亡くしちゃって他の人を好きになれなくなった人もいるし、あとは男の人が好きだったとかね。何があるか分からない。
makiko:はい!男の人が好きっていう人もいました。付き合ってたのに(涙)。
清川:すごいですね。結構個性的な人を好きになってますね(笑)。
makiko:そうなんですよ。他にも、私の家にだけくるけれど自分の家には一切いれないっていう男もいて、その人って絶対なにか隠してる気がするんです。一緒に住んでいた男性が実は大阪に奥さんがいたってこともありましたし。でも私、敢えて根掘り葉掘り聞かないんですよ。そんなこんなで男を見る目がないんです。
清川:聞かないんですか。一緒に住んでいればすぐわかりそうですけどね。

makiko:勘が鋭いので薄々気が付いているものの「本当に私を思っているなら自分から言うはず」って思って。でも自分から言ってくれた試しは一度もないですけどね。
清川:その美学も分かりますが、一番傷つくのは自分だから。なんだか山本さんの個人相談になってきましたね(笑)。
makiko:家に入れない男に関しては、女癖が悪いって話を周りの人から耳が痛くなるほど聴いてるので多分3、4人のオンナローテーションにはいっているんでしょうね、私(笑)。
清川:自分を大事にしてください! その方は言葉遣いが上手なのかな。
makiko:その人いつも褒めてくれます。しかも「君には僕にしか分からない魅力がある」的なマインドコントロールまで(笑)。「この人しかダメなのかな」って思っちゃいますよね(笑)。
清川:言葉っていくらでも言えるじゃないですか。それよりも、行動のほうを信じてみるのはいかがでしょう。だいたいその年代の人は自由をお金で買う場合もあるし。そのためにお仕事をしているところもあったり、やる事がいっぱいあるんです。
特に仕事をする時間を一番大事にしてるから、その時間をどれだけ女性にかけてくれるかで、本当に好きかどうか分かりますよね。お仕事の量にもよりますけど…。
makiko:まさにその通りですね。
清川:そういう人達は伸び盛りだから、しばらく放っておきましょう。
makiko:そうなんですよね。褒められても全然腑に落ちなくて、腑に落ちないけど私はなんか好きなんですよね。だから言われると相思相愛なのかなって思っちゃう。

清川:(笑)。私の周りはその世代がすごく多くて。FORZA世代というんでしょうね、彼らは仕事以外に何を一番知りたいんですかね。
makiko:やっぱりモテですよね。
清川:そうなんですね。
makiko:たぶん一人じゃ満足出来ないというか。その年代の人って「結婚出来ない」とか言ってるわりに細かいこだわりとか色々あるんですよ。
清川:人によりますよ(笑)。でも、山登りと一緒である程度に登ったら「山を登ったら、次はどう山を下りるか」を考えるそうですよ。そうするとその山を下りる時に「誰と一緒に下りようかな」って考えると誰かがおっしゃっていました。
makiko:45歳以上になると、結婚されてるなら奥さんと下りていくんでしょうね。でも一緒に下りたい(=結婚したい)とはいえ、今の私が45歳以上の人とこれから結婚するかといえば「子供が成人するとき夫は一体何歳?」とかリアルな話、ちょっと躊躇しますよね。
35~45歳の世代の未婚男性ってどうなっていくんでしょうね。
清川:その前後で結婚する人が多いのかもしれないですね。恋愛って不安から生まれるものなんでよすね、「不安=恋愛」。だから若い時はそれを楽しめるのではないでしょうか。結婚とかその先にあるものってまた違うんですよ。不安では駄目。安心感が大事です。
makiko:安心感のない危なそうな女とかだめなんでしょうね。私の場合、こういう仕事をしていることもあってか、安心感のある女性より危ないオンナになってしまいそうです(笑)。
清川:私は作品を作る時、作らない時は脳の使い方を変えます。

makiko:その立ち位置の振り幅を決められるっていうのはすごいですね。才能です!
清川:自分にはジッパーがついているのかもしれない。だからすごい客観的に自分のことを見れてるところもあるし、ストレートだけではない視点でもモノを見てるからこそ、作品を作っているんでしょうね、だから採集してるんだろうなって思います。
makiko:それが清川さんの作品の真髄として出てくるんですね。
清川:今までは、人間に興味があって男性も女性も採集してきました。でも次はその人を取り巻く環境。社会があるから個が存在するし、他者との関係性でいろんな自我が生まれたりする。そうやってみていくと、今回の作品のように「レイヤー」のごとく社会が浮き出てくるんです。世界は複雑だから美しいのかもしれない、て。ぜひみなさんにもご覧になっていただいていまの時代を通して色々な事を考えてみてほしいです。
-END-
清川あさみ氏…彼女の目を通すことで社会が浮き彫りになる。そう誰かが言っていたことがすんなりと腑に落ちたインタビューでした。
そう、だってこの短時間で私のこんがらがった頭の中を一つひとつ丁寧にほどいてくれ、新たな希望を見いだすキッカケをくれたのですから…。
新作個展、絶賛開催中。ぜひ足を運んでみてください。
Photo: Young Jun Kim
Text, Edit: Makiko Yamamoto
<清川あさみ15周年新作個展「ITOTOITO」>
会期:2016年4月2日(土) - 2016年5月25日(水) 11時-20時
会場:EYE OF GYRE/GYRE 3F
住所: 東京都渋谷区神宮前5-10-1
電話: 03-3498-6990
共催:GYRE/ASAMI
協賛:富士アクリル工業
協力:株式会社 細尾/ippudo Inc./HiRAO INC
清川あさみ
淡路島生まれ。2001年初個展。2003年より写真に刺繍を施す手法を用いた作品制作を開始。庭園美術館、水戸芸術館での単独個展など展覧会多数。
代表作に美女採集、高橋コレクションに所蔵されている「Complex」シリーズがある。「銀河鉄道の夜」「狼王ロボ」などの絵本や「caico」「ひみつ」などの作品集など著書も多数あり、作家谷川俊太郎氏との共作絵本「かみさまはいるいない?」が2年に1度の児童書の世界大会の日本代表作品に選ばれる。VOCA展入賞。各方面にて活躍の場を広げている。
<清川あさみ作品集「1 : 1」 全作品収録>
5月発売予定 定価 ¥3,800(税別)
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