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FASHION

【連載】カルロ黒部の
GENTLEMEN'S STYLE
第13回 フランチェスコ・バルべリス・カノニコさん 

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ヘリテージ・革新・エレガンスの体現者

「カルロ黒部のGENTLEMEN’S STYLE」第13回目は、フランチェスコ・バルべリス・カノニコさん(ヴィターレ・バルべリス・カノニコ社 クリエイティブディレクター)の登場です。

イタリア大使館で開催されたレセプションパーティーで、1663年創業、350年を超える歴史を持つ世界最古の毛織物メーカーであり、イタリアを代表する高級素材メーカーとして著名なヴィターレ・バルべリス・カノニコ社の13代目経営陣でクリエイティブディレクターのフランチェスコ・バルべリス・カノニコさんは笑顔で迎えて下さいました(第12回では同社CEOをご紹介しています)。

この夜の装いは、主催者に相応しく同社の上品な光沢のあるネイビーのTHREE PLY(スリー・プライ)素材のシングル3ボタンスーツでした。会場にはフランコ・プリンツィバァリーさんの仕立てた、21マイクロン、390gのFOUR PLY(フォー・プライ)素材のスーツも展示されていました。通常用いられる2本ではなく、3本または4本の糸を1本の糸に撚ったハイツイストヤーン(強撚糸)で織られる素材は弾発力が強くシワになりにくく非常に丈夫で、上品な光沢が特徴です。

ソフトで軽い素材が好まれる風潮の中で、近年、伝統的製法で作られた打ち込みの良いしっかりした素材の見直しが進んでいます。やはりスーツの仕立て映えが断然良く耐久性に富むためなのです。まさに世界を飛び回るクリエイティブディレクターに相応しいスーツ素材だと言えるでしょう。

ワイドスプレッドカラーシャツは英国のHilditch&key社のものです。日本風に言うとロンドンストライプですが、正確には、ミディアムブルーのキャンディストライプと呼びます。ヒルディッチ&キィは1899年、チャールズ・F・ヒルディッチとW・グラハム・キィによって設立された老舗で、今日ではロンドン、ジャーミンストリートを代表するシャツの名店として知られています。また1925年にパリ、リヴォリ通りにオープンした支店は、イヴ・サンローランやカール・ラガーフェルドにも愛用されたのです。

タイは同じくジャーミンストリートに面したピカデリーアーケードにあるアクセサリーの名店Benson&Clegg社のものです。ベンソン&クレッグは1937年、ハリー・ベンソンとトーマス・クレッグによって設立、今日では英国皇太子のロイヤルワラントも保持する紳士アクセサリーの名店です。正真正銘のレジメンタルタイやメタルボタンが揃うことで知られています。

このタイの柄はRoyal Navy ChathamのGold Crownです。英国を代表する貴族チャタム伯爵の名を冠するこの英国海軍造船所は、トラファルガーの海戦から今日まで400年に渡り七つの海を守る船を造り続けて来たのです。シャツもタイも英国で学んだことのあるフランチェスコ・バルべリス・カノニコさんらしい選択だと思いました。

イタリアのファッション関係者には、紳士服のルーツである英国に憧憬や尊敬を抱く方が多いのですが、Vゾーンにもそれが表れていると思います。

時計はPATEK PHILIPPEのノーチラス、カフリンクスはベルギーのDEGANO CUFFLINKS社のものです。ダブルカフスの袖元にさりげなくクラス感を漂わせるのが、真のエグゼクティブスタイルです。

シューズは黒のスエードのBelgian Shoesです。元々はベルギーの貴族に愛用されて300年以上の伝統があるのですが、現在のデザインはニューヨークの百貨店ヘンリー・ベンデルが1950年代に販売していたものがベースになっていると言われています。

ベルジャンシューズの特徴は短く、パイピングが施された甲とアクセントのリボンです。PITTI UOMOに集まる紳士服関係者に注目されて、今日では色々なメーカーからバリエーションが登場しています。ヴェルヴェットスリッパ—ズと同様に夜のレセプションパーティーでスーツに合わせるとエレガントな雰囲気を演出してくれるのです。

フランチェスコ・バルべリス・カノニコさんの着こなしは、まさにヴィターレ・バルべリス・カノニコ社の哲学「ヘリテージ、革新、エレガンス」を体現するものでした。紳士服のルーツである英国の伝統に敬意を払い、そこに新しいものを持ち込むことで自分のスタイルを確立する大切さを我々に教えてくれるのです。

Text:Carlo Kurobe

カルロ黒部(黒部和夫)
カルロ インターナショナル代表 ファッションコンサルタント ファッション評論家。1958年外交官子弟として駐 インドネシア日本大使館で誕生。1983年オンワード樫山入社後、メンズ企画部門を歩む。2014年同社退職後、カルロ インターナショナル設立。国内外のファッション企業のコンサルティングおよびPR業をはじめ、ファッション評論や公演で活躍中。

 

 



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