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【新連載】闘うブックレビュー
「読まずに着れるか」

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着るだけで、
地位が高いと錯覚させる

ファッションとは、非言語の記号である。あなたが身にまとう服装は、あなたが話す言葉よりも多くを語ることがある。そんなファッションに関する本を紹介するFORZAの「闘うブックレビュー」。記念すべき第1回はこの本だ。

「赤を身につけるとなぜもてるのか?」(テルアビブ大学社会科学部心理学科教授 タルマ・ローベル著/文藝春秋刊)アマゾンはこちら。

情熱の赤に誘惑の赤、赤線、禁断の果実、りんごの色…赤に想起される感情は、情動に訴えかけるものばかりだ

 

突然だが、あなたのクローゼットの中に赤色の洋服はいくつ含まれているだろうか。この問いに対する答えは、もしかするとあなたの「セクシー度」に直結しているかも知れない。

本書の著者で、行動認知学の世界的権威、テルアビブ大学のタルマ・ローベル教授は、長年の研究の結果、「赤色と性的欲求の繋がりは驚くほど強い」ことを発見した。

赤色のドレスを身にまとった女性に強い性的アピールを感じた男性は多いだろう。しかし、この本の要(かなめ)は、女性も赤色を身につけた男性にセックスアピールを感じることを科学的データで立証している点だ。この場合、「赤」をどの部分に用いるかはさして重要ではない。ネクタイでもコートでもセーターでも、赤くさえあればよいのだ。

あの「誘惑の果実」にも象徴として使われている、赤色を身につけた男性を見ると、女性は実際のあなたよりも、幾分かあなたの「セクシー度」を高く弾き出す。
心理学者のアンドリュー・J・エリオットらの研究によると、オスの赤は地位と密接に関わっているという。女子学生に、ある男性の写真を示し、その背景を、赤、白、グレーの3グループに分けたところ、まったく同じ男性の白黒写真なのに、赤がバックの男性を見た女性は、他のグループよりも、写真の男性を魅力的と感じ、強い性的魅力を感じる傾向があった。

エリオットらはさらに踏み込み、赤いシャツを着た男性とグレーのシャツを着た男性(モデルは同一人物)の写真を女性学生に見せ、男性の社会的地位と将来の成功の可能性を評価させたところ、赤いシャツを着た男性の圧勝だったという。(くどいようだが、シャツの色以外はすべてが同じだ)。
名刺を差し出す前なら、あなたが課長だろうが部長だろうが、ヒラ社員だろうが関係なく、「赤」は「なんとなく地位が高そう」とあなたに下駄を履かせてくれるのだ。

アメリカ大統領のバラク・オバマのネクタイを想像してほしい。あなたがイメージしたのは、「赤」ではなかったか。集団のトップに立ち、牽引するそのイメージは、デートの時だけではなく、大事なプレゼンの時、あなたの印象をプラスの方向に強めてくれるハズだ。逆に言えば、あなたが目立ちたくない草食男子で、「セックスや出世のリスク」を避けたいなら身につけるべき色ではない。

同書では、環境が人間の認知に影響する様々なケースが紹介されている。「同じ内容が書かれた履歴書でも、重い紙に印字されているほうがその人物に対する信頼性が高まる」「初対面のとき、温かい飲み物を手渡されると、その人物に対して好意を感じやすくなる」「柔らかいソファーに腰掛けた場合、堅いソファーよりも対峙した人物に対して心を開きやすくなる」…etcなど、ビジネスやデートで応用できる知識が満載だ。FORZA世代の男性にとって、有益な書であることは間違いない、『悪用禁止』の一冊だ。

Text:Yoshihide Kurihara

 



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