■「ビッグモーター全社員の雇用を守る」とする、伊藤忠
2023年12月、伊藤忠商事の社長はインタビューのなかで、「ビッグモーター全社員(5000名規模)の雇用は守りたい」としていた。日本人の美徳である「情」に習った発言にも思えるが、SNS上ではこの発言に対し、異論を唱える声が非常に多い。
確かに、伊藤忠商事の社長は「創業家の問題や文化など、バッドアセット(不良資産)は引き継がない」としているが、本当にそれで万事OKなのかは疑問に思うところ。
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「ビッグモーター全社員(5000名規模)の雇用は守りたい」とする伊藤忠。ただこれには異論を唱える人も多い
もちろん、不正に関与せず、不正が行われていることなど知らずに働いていた人も少なくないだろうが、ごく一部の人であっても、上司からの強烈なプレシャーがあったにせよ、わざとクルマに傷をつけたり、保険金を多分に請求したり、街路樹を枯らしたりした人、そしてそれを見て見ぬふりをしてきた人たちの雇用まで守られるのだとしたら、それはなんだかしっくりはこない。
■「世間よし」をおろそかにすることはないはず
ただ、伊藤忠としても、無条件で受け入れるようなことはしないのではないだろうか。伊藤忠は日本を代表する商売人であり、「売り手よし、買い手よし、世間よし」を理念としてきた同社が、「世間よし」をおろそかにするとは思えない。
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おそらく、新会社は、ビッグモーターのいいところだけを継承し、負債や訴訟、悪しき風習も含めてビッグモーターに残すようなかたちになるのではないだろうか
おそらく、新会社は、ビッグモーターのいいところだけを継承し、旧ジャニーズと同様に、負債や訴訟、悪しき風習も含めてビッグモーターに残すようなかたちになるのではないだろうか。新会社がどういった事業を行うのか明らかになるのは、あと少し先になると思われるが、伊藤忠にとって、おいしいかたちに継承されるのだろう。
Text:Kenichi Yoshikawa
Photo:Adobe Stock
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