■新型クラウンエステートは「ワゴンとSUVの融合」
トヨタは新型クラウンエステートについて、「機能的なSUVとして、大人の雰囲気で、余裕のある走り、アクティブライフを楽しんで頂けるモデルです。後席はフルフラットデッキにもなり、まさしくワゴンとSUVのクロスオーバーとも言える」としている。
ワゴンといえば、日本では、1990年代にブームとなり、スバル「レガシィツーリングワゴン」をはじめとして、各メーカーが多くのステーションワゴンをラインアップしていた。ただ現在は、トヨタの「カローラツーリング」のほか、スバルから3車種(レヴォーグ、レイバック、アウトバック)がラインアップされているのみと、国内ではイマイチ人気のないジャンル。マツダの「マツダ6ワゴン」もそうだが、先日2024年4月での生産終了が発表されてしまった。
ただ海外メーカーは、昔からいくつかのワゴンをラインナップしつづけており、定番の人気ジャンル。セダンの車体をベースに設計をするので横展開がしやすい、といった事情もあるが、ステーションワゴンは、背が低いことで、低燃費でセダン並みの安定した走りを得られ、荷物もたくさん積み込めることで「クルマにおいて、もっとも合理的な形状」だと、海外では考えられているようだ。
だがこれは、ワゴンを肯定するための屁理屈のようなもの。筆者が思うワゴンの魅力は、セダンのようなフォーマル感は不要だが、ミニバンやSUVといった実用車ではなく、でも旅行やアウトドアなどの遊びに使えて、しかも、背が低くてカッコいい(一番大事)。いつでもどこへでも行ける、それでいて上質なかっこよさがある、まさにアクティブなオヤジにはぴったりなモデルなのだ。
■荷室は最大2mにも!! サーフボードも余裕で積み込める
新型クラウンエステートは、全長4930(±0)mm×全幅1880(+20)mm×全高1620(+80)mm、ホイールベースは2850(±0)mm(カッコ内はクラウンクロスオーバー比)というサイズ。
ワゴンとよぶには背が高く、SUVとしては背が低い。最大の特徴は、最大2m超という長い荷室だ。自転車やサーフボードもそのまま積み込むことができ、クラウン4種の中でもっとも「遊びクルマ」に適している。もちろん、ほかのクラウンシリーズ同様に、内外装デザインからは、クルマのつくり込みはよい。
パワートレインについては、ハイブリッドとPHEVの2種類と発表されている。先に発表となっているクラウンスポーツと同じユニットだが、かたやスポーティな走り、かたやロングツーリング向けの遊びグルマ、両者が目指すスタイルはだいぶ違う。
パフォーマンス重視のPHEVが本命の新型クラウンスポーツとは異なり、新型クラウンエステートでは燃費がよくリーズナブルになるであろうハイブリッドのほうが、ステーションワゴンとしてのキャラクタに適しているだろう。
■あの立派なタイヤと背の低いスタイルには、多くの人が魅了されるはず
SUVも悪くないが、より上品な印象のあるワゴンは、ミドル世代にはぴったりだと思う。大径タイヤと背低スタイルのステーションワゴンSUVの実物を見れば、多くの人が魅了されるはずだ。新型クラウンエステートの正式発表は2023年度内とされていることから、もうまもなくその詳細が明らかになるはず。気になる人はいまのうちにトヨタディーラーへ相談にいったほうがいいかもしれない。
Text:Kenichi Yoshikawa
Photo:TOYOTA