恵理子さんは、そこまで一気に言い切ってから、深いため息をついた。
「もともと推薦書は、一般入試ではピックアップできない受験生を評価するために、基本的には、その受験生の人物像を記すものでした。でも、新入試制度では「学力面」の記載も求められるようになって、従来とは違う書き方を求められるようになったんです」
恵理子さんの言う新入試制度とは、2021年度から段階的に導入されている制度だ。
受験方法や全体的な流れが大きく変わることはないが、「大学入試センター試験」が「大学入学共通テスト」に変わり、2024年度入試からは、「情報」という科目が受験必須科目となる。内容もずいぶんと変わり、国語は試験時間が伸びた。
そういった変更点の中に実は、「推薦」に関する変更も含まれていたそうだ。
それが、「推薦書に記す内容」
旧来の公募制推薦、指定校推薦における推薦書には、推薦する高校生の「人物」について記すのが基本だった。
「穏やかで優しく、友人に対する心配りがこまやかな生徒であり、多くの友人から信頼されている」とか「2年次には修学旅行委員として学年をまとめ、旅行のしおりなどを作る際に優れたリーダーシップを発揮した」「責任感が強くて面倒見の良い性格で、誰にでも優しく接することができる、明るくて朗らかな生徒である」
と言った書き方をするのが従来の入試制度の際に用いていた文言。
しかし、新入試になってからは、「学力面と人物面を記す」という決まりができたので、従来道理の書き方では不適切だということになってしまうのだ。
「学力面」というのは、「(1)本人の学習歴や活動歴を踏まえた「学力の3要素」に関する評価を記載すること、及び(2)大学が選抜でこれらを活用することのどちらも必須化すること」だと文科省は記載している。
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