「まあでも、特別難しいことじゃないんですよ?『部活動で忙しく十分な家庭学習時間を確保できない時も、休み時間などを利用して学習する習慣が身に付いている』とか、『苦手な教科については頻繁に質問に行き、積極的に理解に努めるなど学習意欲も高い』とかそういう言葉を付け加えればよいだけなので、そんなに大変なことではないと思うのですが……」
恵理子さんはそう話すが、桃子さん(仮名)40歳は、若手たちが生成AIなどに頼ってしまう現状を仕方のないことではないかととらえている。
「結局、推薦書を書く時の常套句みたいなものが存在している時点で、誰が書いても同じだろうというような感想を、多くの教員たちが抱いてしまっています。
推薦書が理由で合格することもなければ、不合格になることもない。それが、我々教員の共通認識。となると、そこに時間や労力をかけるくらいなら、他の仕事をしたいと考えるのも無理はないんですよね」
桃子さんは、さばさばとそう言った。
彼女自身は、都内の公立高校で社会を教えながら、今年、高校三年生の担任をしているが、推薦書を書く時には、過去に自分が作ったモノや、先輩方が作ったモノをベースに、手を入れて形を整えているのだそうだ。
「やっていることは、生成AIを使うのと変わらないのですよ。ただ、生成AIは、『推薦書を作る』ということについてはまだかなりレベルが低い。私も、いくつかの生成AIを用いて推薦書を作ってみましたけど、クオリティが低いと言わざるを得ませんでした。
まあ、そういう使い方をする人は教員に限られているでしょうし、今のところ、使っていない教員の方が多いし……。そうなると、生成AIが成長しないでしょうから、いつまでもクオリティが低いままなのかも」
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