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FORZA STYLE - 粋なダンナのLuxuaryWebMagazine
LIFESTYLE 女たちの事件簿

「ヒールの音が廊下に響く」「生徒に色目を使うな」とクレームが...30歳教師が頭をかかえる「女教師の服装という難問」

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不倫や浮気、DVにプチ風俗……。妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちが密かに抱えている秘密とは? 夫やパートナーはもちろん、ごく近しい知人のみしか知らない、女たちの「裏の顔」をリサーチ。ほら、いまあなたの隣にいる女性も、もしかしたら……。

「男性教員の多くはスーツを着用するのであまり問題になりませんが、女性教員の服装はとにかく揉めやすいそう。教員には校則や制服などが存在しませんが、だからといって好きなようにふるまえるわけではなく、「教員らしい」という何とも漠然とした文言に縛られることになります。その中でも女性教員は、先輩教員の目というのが避けられないそうです」

危機管理コンサルタントの平塚氏はこのように語る。今回FORZA STYLE「ライフ取材班」は、そんな悩みを抱えたひとりの女性教員の話を聞くことに成功した。

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「男性教員のようにスーツが無難なのかもしれませんけど、ジャケットは肩がこるし、スカートのスーツは動きづらい。周りの先生方がみんなスーツなら私もスーツにしますけど、スーツばかりを着用しているとかえって浮いてしまうので、新人の間は夏休み明けくらいまでずっとスーツで通して、そこから少しずつカジュアルダウンしていきました」

そう話す敦子さん(仮名・30歳)は、教員歴6年の高校教師。着たいものを着られるようになったのはごく最近だそうだ。

「20代の間は、何を着ても批判されるというか、賛否両論に耳を傾けないといけないみたいな感じでした。新人なのでずっとスーツを着ていた期間ですら『スカート丈が短い』『ヒールの音がうるさい』『髪の色が明るすぎる』などの小言をいわゆるお局様的な50代の先生から指摘され続けました。

『私は別にいいと思うけど、他の先生が気になるっておっしゃってるのよ……』そんな切り口で言われると、気になるし、直さなくてはいけない! と思うので、私はその都度対処してきました」

新人だった敦子さんはお局的女性教員の指摘をすべて聞き入れて、パンツスーツに変え、足元をスニーカーにして、髪は黒く染めた。

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©Getty Images

「そしたら今度は、40代くらいの女性の先生が『教育実習生と見間違ってしまうから、もう少し大人だとわかる感じにすればいいのに』とおっしゃって……」

混乱した敦子さんは、とりあえず足元を低めのヒールにしてみた。

「今思えば、どなたが何をおっしゃったとしても、仕事に支障さえなければよかったと思うのですけど。みなさんのそれぞれの感想をいちいち真に受けてしまって……」

そう言って笑う敦子さんは、ヒールのせいで怒鳴られたこともある。

「そんなに大きな音は出していなかったと思うのですが、私の足音がコツコツうるさいせいで生徒が授業に集中できないって、授業中に教室から顔を出して私に向かって怒鳴る先生がいました。

学校の先生って、結構平気で大人に向かって生徒に言うように怒鳴ったりします。今はそういうことをわかっていますけど、その当時はわからなかったので驚いたしショックでした」

若かりし日の敦子さんの葛藤は続いた。

「スーツは学生に見えるし、華美なものは叱られるし、女性らしいものを身につけていると『思春期の高校生の前で女っぽくふるまうのはよろしくない』なんてことも言われました。

しかも、私としては身だしなみだと思っていましたけど『ネイルなんて教員には必要ない』ともいわれてやめました。

でも、ネイルって言っても派手なものではなくてベージュっぽいカラーで爪も短くしていたのにですよ? もう本当にパニックで、着るもののことを考えると仕事を休みたくなるような日が続きました」

そう言って笑う敦子さんの指はベージュピンクに美しく彩られている。

「なのに、私の服装をとやかく言っていた女性の先生方はヒール靴を履いていましたし、ネイルも結構華美なものでした。髪色だって結構明るいし。

『年齢が高くなるとこれくらいしないとみすぼらしく見えるから』って言い訳しているのを見て、馬鹿らしくなりました。年齢を重ねたら髪色を明るくしても良くて、ヒールもネイルもOKなら、別に若いうちに同じことしてもいいでしょってそう思いました」

敦子さんは、それ以降、自分の服装に何を言われても気にしなくなったそう。

「まあでも、保護者の方々からも服装についてクレームが入ることはあります。私はTPOを考えて保護者の方がいらっしゃるときは基本的にベージュか黒のスーツにしていますけど、男性教員で寒いからといって冬はスーツのジャケットを脱いでカッターシャツの上にジャージやダウンを着ている人が結構います。

それを見た保護者の方が『体育の先生ばかりのようで威圧感があって子どもがかわいそうだ』と電話をかけて来ました。ジャージやダウン姿だからって『体育の先生だ』と思うのも『威圧感がある』と思うのも時代錯誤だとは思いますけど、保護者からそう言われてしまうと無下にはできないので、うちの学校ではしばらく『ジャージ・ダウン禁止令』が出ていました」

教員の服装というものは、とかく目につきやすいのだ。

「私は、上の世代の先生方から言われたことを守ってそれなりに悩みましたし、今は悩まなくはなりましたけどとにかく目立たないように気はつけています。でも、逆に言われれば言われるほど反抗したくなっちゃう先生もいました」

敦子さんの学校に赴任してきた後輩も、その1人だった。☆敦子さんの学校に赴任してきた後輩のトンデモ言動とは? 次回で詳細にレポートする。

▶︎後編に続く


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