ツールウォッチならGMT、旅を楽しむなら……
では、実際に海外旅行へ行く際には「ワールドタイマー」か「GMT」、どちらが良いのでしょう?
筆者はシーンによって使い分けるべきだと考えています。
例えばビジネス、商談相手へ交渉に行くならば、広く世界中の時間帯が確認でき、グローバルな目線・感覚でディール(取引)を進められるワールドタイマーは便利でしょう。
しかし、同じビジネスでも、あなたが航空会社のクルーで、プロユースのツールウォッチとして使う場合では、GMTのような「デュアルタイム」の時計の方が使い勝手が良いのです。
実際、会社の同僚で元CAのTさんに、機内での仕事で使用していた腕時計を聞いたところ、彼女も現役時代は2つの異なる時間帯を示す「ツーフェイス」の時計を愛用していたと教えてくれました。
ただ、クルーの皆さんは、現地時間はほぼ頭にインプットされていたそうです。ホノルルならば、日付を1日マイナスして3時間進み、シンガポールやシドニーはそれぞれマイナス1時間とプラス1時間、というように彼女たちは時差なんかで、まごつきません。美しいですね。
やはりプロがツールウォッチとして使う場合には、余計な情報は不要だそうです。目的地と出発地の時間さえわかればそれで良い。プロとしてタスクを忠実に実行される方には、GMTが最適なのでしょう。
一方、僕のように世界各国の時間の移り変わりを楽しみたい人間には、ワールドタイマーがベストかもしれません。
先日オメガのショップで試着したシーマスターは、ダイアルの中心にチタン製の世界地図を重ねています。
この時計だけで筆者は旅への高揚感が増幅するのです。旅行者として純粋に旅を楽しむ時計であれば、ワールドタイマーのほうがワクワク感が増し、旅がより一層楽しくなる気がしています。
判断が難しいところですが、必要最小限の情報だけあれば良い人はGMT、少し遊び心を持って旅を楽しみたい人はワールドタイマーが相応しいと筆者は考えます。
皆さんはいかがでしょう?
Text:Goro Ando