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おじさんにはもう理解できない?ハンマーヘッドを得た次期型トヨタC-HRは、現行型のように売れるのか?7月生産終了モデルも振り返り

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安全装備や自動運転でますます高額化している現代のクルマ。上手に購入する方法は? さらに、所有してからも様々なトラブルやアクシデントが起きるのがカーライフ。それら障害を難なくこなし、より楽しくお得にクルマと付き合う方法を自動車ジャーナリスト吉川賢一がお伝えします。

2023年6月26日、欧州トヨタは同社のコンパクトクロスオーバーSUV「C-HR」の新型を発表した。新型プリウスや新型クラウンシリーズと同様のハンマーヘッドデザインを採用したほか、トヨタ車初となる電動格納式ドアハンドル「フラッシュドアハンドル」を採用するなど、初代モデルの魅力であったデザイン性をさらに追及。パワートレインにはプラグインハイブリッドも用意されるなど、大幅に進化した。

C-HRといえば、2016年に登場した初代モデルは、デビュー直後から大人気となり、その後も安定した人気を誇ったモデル。新型登場のこの機会に、7月での生産終了が発表されている初代C-HRの功績を振り返ろう。

 

■デビュー翌年には11万台も売り上げた、伝説のクロスオーバーSUV

今から7年前の2016年12月に日本デビューした、トヨタの小型クロスオーバーSUVである初代「C-HR」。冒頭でも触れたように、登場するやいなや人気爆発し、発売翌年の2017年には、年間登録台数11万台強を記録、翌2018年も7万台強が売れるなど、コンパクトSUV市場を一気に牛耳ったほどの人気モデルであった。

パワートレインは、1.8L直4ガソリン+モーターのハイブリッドモデルと、1.2L直3ターボモデルの2種類で、駆動方式は、ハイブリッドがFFのみで、ガソリン車はFFと4WD。ガソリン車には、SUVには珍しく、6速マニュアルトランスミッション車が用意されていたのも特徴的だった。

特別仕様車 G“Mode-Nero Safety PlusⅢ”、G-T“Mode-Nero Safety PlusⅢ”を設定し、8月29日に発売

初代の最終モデルは、2019年10月のマイナーチェンジ版で、ヘッドランプとリヤコンビネーションランプのデザイン変更したほか、1.2L直噴ターボエンジンに6速MT仕様を追加し、ガソリン車・ハイブリット車の両方に「GR SPORT」追加、8インチディスプレイオーディオを標準装備するなど、ガラッと進化。最終的な販売価格は、ハイブリッドモデルで税込275~315万円、ガソリンモデルで239~282万円と、比較的リーズナブルな価格であった。

 

■ニュル24時間レースに出たクロスオーバーSUVとして話題に

この初代C-HR登場当時のトヨタのSUVラインアップには、ハリアーやランクル、プラド、FJクルーザーなどがあったが(RAV4は当時日本未導入だった)、まだ現在の売れ筋であるライズやヤリスクロスのようなコンパクトSUVはまだ存在しておらず、プリウスを中心としたハイブリッド車の拡販に集中していたタイミングだった。他メーカーでは、ホンダヴェゼルや日産ジューク、マツダCX-3など、200万円ほどで手に入るコンパクトSUVが人気となっており、海外市場(特に欧州)でも、コンパクトSUVの人気上昇が加速していた。

2016年のニュルブルクリンク24時間レースに参戦した、TOYOTA C-HR Racing。スポーツカーが主体のレースへSUVが参戦するのは極めて異例だった

この遅れを取り戻すため、トヨタが仕掛けた戦略が、市販前のSUVで、ニュルブルクリンク24時間レースに参戦しちゃおうというもので、その参戦マシンが初代C-HRのプロトタイプカーであった。

トヨタは当時、この初代C-HRプロトタイプカーでの参戦について、「正式発表前のモデルによるニュルブルクリンク24時間レースへの挑戦は過去にLEXUS LFA、TOYOTA 86で行なったが、クロスオーバーSUVであるC-HRで参戦する目的は、ニュルを舞台にした「極限でのテスト」をスポーツカーだけでなく、誰でも購入可能な普通のクルマでも行うこと」だとしていた。

「格好と走りを突き詰めること」を目標として、ダイヤモンドをモチーフにしたかっこいいプロポーションと、走りにこだわりのあるヨーロッパの人たちにも選んでもらえる「我が意の走り」をコンセプトに掲げた初代C-HR。「クロスオーバーSUVでレースに参戦!?」という、当時は不思議なチャレンジに、(筆者も含めて)面食らった方も多かったと思うが、その作戦は見事に成功。スタイリッシュでカッコ良いクロスオーバーSUVでありながら、走りを鍛えるためにアウトバーンを含んだ欧州の道路で鍛え上げた、というストーリーをもうけ、スポーティカーに飢えていたファンが、こぞってトヨタディーラーへ駆け込んだのだ。

初代C-HRは燃費性能も優れていた。初代C-HRがデビューした2016年といえば、4代目プリウスがWLTCモード32.1km/L(プリウスEグレード)の驚異的な燃費をたたき出していた時代だが、初代C-HRは、ハイブリッド車で25km/L(WLTCモード)、ガソリン車で15.4km/Lと、SUVとしては圧倒的な燃費性能も備えており、経済的な面でも優秀だった。

しかし初代C-HRがヒットした最大の理由は、上記のような性能、装備、機能をもつモデルが、わずか240万円ほどで手に入った、ということではないだろうか。エントリーモデルとして価格もボディサイズも手頃でありながら、パフォーマンスは超一級であったことが、ユーザーに受け入れられたのだろう。



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