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LIFESTYLE 女たちの事件簿

「不満なんて言えたもんじゃない…」コンビニ未経験なのに副店長の50歳オジさん。正体は「高給取りのおしゃべり問題児」だった。

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コンビニの店長や副店長は、普通はアルバイトから始まり、経験が長くなってきてから目指すのが一般的だ。
接客が好きな人、コンビニで働くのが好きな人は、就職した企業をやめて店長になることもあるらしい。
あるいは就職した企業に馴染めず、社会から省かれた人間が、行き場をなくしてコンビニ店長になることも最近は多いという。

しかしあるコンビニで副店長に抜擢された藤谷五郎さん(仮名・50歳)は違った。
元々はコンビニ関連の配送会社で働いていたが、そこからスカウトされ未経験からいきなり副店長に抜擢されたのだ。

©︎Getty Images

スタッフの田島美香さん(仮名・40歳)はこう話す。

「オーナーは藤谷さんにうちの店にこないかと、以前から誘っていたみたいです。元気で快活な人柄が接客業に向いていることもあって、是非副店長にとお願いをしていました。毎日入ってくれるようになれば、シフトの面でも助かりますし、お店にも活気が出てくると考えたみたいです」

藤谷さんは学歴こそないがいわゆるヤンキー上がりの人間で、地元の人間関係やつながりが強かった。
口達者で押しが強く、接客や営業に向いた性格を買われてのことだそうだ。

「今日からお世話になる藤谷です!ここでは新米でご迷惑をおかけすることもあると思いますがよろしく頼んます!」

よく通る声と、元気の良さ、カラっとした雰囲気で、藤谷さんは店内のスタッフから歓迎された。
入店初日から知り合いのお客様と元気よく話す姿があり、オーナーもいい人が来てくれたと喜んでいたようだ。

「ちょっと悪そうな見た目と、大ざっぱな性格という印象だったのですが、それがまた好印象だったのかもしれません。雰囲気で言えばタレントの梅沢富美男さんのような、頼れる兄貴って感じでしたね」

藤谷さんはすぐに働くことになったが、未経験なのでアルバイトと同じ扱いからのスタートだ。
さすがに年齢から若手よりも覚えは良くなかったが、周囲のスタッフの助けもあって順調に働いていた。
しかし1ヶ月ほど一緒に働いたスタッフは、ちょっと困った部分もあったらしい。徐々にお客さんやスタッフとダラダラしゃべりこんだり、休憩以外にタバコに行く姿が目立ってきたそうだ。

「藤谷さんはずっと地元で生活していて、この辺のお客さんや年配の方たちとはべったり仲良しの関係。だから仕事中もおじさんたちとおしゃべりする時間が多かったんです。忙しい時もお構いなしにおしゃべりするので、その時はちょっと困ったなって感じでした……」

知り合いが来た時には、藤谷さんは仕事そっちのけでおしゃべりをしていた。

「おお久しぶり!どうもどうも!」「五郎、お前いつから働いてんだ?」「先週からだよ、前んとこは給料安いんだよ!」「なんだよ、だったらウチ来いよ!」

こんな感じで会話に花が咲いていたらしい。しかしこれくらいなら、どのコンビニでもあるような光景だろう。

実は藤谷さんは期待されスカウトで入ってきたこともあって、給料が他の店長たちに比べて2倍以上もあった。口のうまい藤谷さんは、オーナーとの交渉で相当給料を上げてもらっていたようだ。
それを知った長年働いてきたベテランの主婦たちは、少し複雑な気持ちになっていたらしい。

それでも藤谷さんは、

「おはよう〇〇ちゃん!今日もかわいいねぃ!」
「〇〇さんこの前ありがとう!これプレゼントね」

こんな調子で話しかけ、主婦たちの気持ちをつかんでいたようだ。
この店は大人しくて真面目な男性しかいなかったこともあって、藤谷さんのような性格の男性は女性陣からは受け入れられた。

また、藤谷さんは多くのスタッフからの信頼も得ていた。
なぜならグループラインで積極的に発言して目立ったり、オーナーや管理職のいる前では真面目に働いていたからだ。

リーダー格の主婦の人たちにも、積極的に話しかけて良い印象を植え付けていた。
一緒にシフトに入っていない人たちは、藤谷さんが仕事を頑張る真面目な人間だと思っていたらしい。

「藤谷さんが入ってくれて本当によかったですね!」
「お店が明るくなりました!助かります!」

こう話すスタッフも多かった。
しかし同じ時間にシフトに入っていた人は、そうは思っていない。

「特に若い学生と一緒の時はひどかったですね。学生は真面目にテキパキと動くんですが、それに甘える形でお客さんとおしゃべりばっかりしてたんですよ。それに神経を使いそうな接客やレジは学生に任せて、今やらなくていいような掃除とかを始めたりするんです」

「目立つような作業ばっかりやって、面倒な作業や忙しい時間帯は、お客さんの目の届かない事務所に引っ込むんです。あからさまにサボりたいのがバレバレで、一緒に入っていたスタッフはストレスを抱えていました。
実質1人減ったようなものなので、お客さんをさばくのも、品出しをするのも一苦労でした」

ところが一緒に働いていたスタッフの不満は、なかなか表には出てこなかった。
藤谷さんの年齢が高い事もあるが、仲のいいお客さんの中にはコワモテの人物も多い。
そのあたりのプレッシャーもあって、若い学生やお年寄りは特に不満を口に出せず、心の中に抱え込む形になっていたらしい。

それにあぐらをかくような形で、藤谷さんの行動はどんどんエスカレートしていった。

☆身近なスタッフの不満とストレスはたまる一方。それとは裏腹に、藤谷さんの評判を後押しする大きな武器がさらにスタッフを追い込んだ……。強すぎたその武器とは?次回では、スタッフと藤谷さんの攻防に注目していく☆

ライター:鮫島佑樹

▶︎後編に続く


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