■40ps増しの最高出力550psを達成したハイパフォーマンスエンジン
エンジンは、M4用の3.0L 直列6気筒M ツインパワーターボガソリンエンジンをベースに、ブースト圧を1.7barから2.1barへアップ、BMW M4 Competitionに比べ、最大出力は40ps増した405kW(550ps)/6250rpm、最大トルクは650Nm/2750-5950rpmにまでパワーアップした。
トランスミッションは、ベースのM4がマニュアルミッションに対し、M4 CSLではサーキットでの使用に特化したオートマティックのM Driveプロフェッショナル(Mトラクションコントロール付)となる。またCSLに合わせたタイヤは、ミシュラン製の超ハイグリップタイヤである、PILOT SPORT CUP 2R(フロント275/35R19、リヤ285/35R20)を装着。CSL専用チューニングのサスペンション、スタビライザー、マルチリンク式リヤアクスルも採用する。
車体軽量化やエンジン改良、タイヤトラクション向上の恩恵もあり、0-100km/h加速は3.7秒を達成。ちなみに510psのM4 Competitionクーペ(ヨーロッパ仕様車)は3.9秒、480psのM4クーペは4.2秒だ。ちなみにM4 CSLは、ニュルブルクリンク北コース(20.832km)において、BMW量販車史上最速タイムの「7分20秒207」をたたき出したそうだ。
■まとめ
少し前は、見向きもされなかった3L級のガソリンターボ車だが、昨今は、昨年登場した日産フェアレディZ(RZ34型)など、600~800万円もの価格帯であっても人気殺到し、納期も長期化。お金があったとしても、入手が困難な状況となっている。
ただ、今回のBMW M4 CSLは、誰もが楽しめるようなクルマでは決してない。2000万円超という車両価格は元より、走らせる環境も必要であり、余裕のある選ばれたオーナーのみが所有できるマシンだ。ただ、BMWもあと数年で電動車専用のメーカーとなる可能性があり、そうなる前の最後の足掻きとして、BMW史上市販車最速マシンが誕生したことは、嬉しいことだ。
Text:Kenichi Yoshikawa
Photo:BMW
Edit:Takashi Ogiyama