これからの人生で心から欲しくなって買うことができるものの数を考えると、つねに頑張って、少しでも良いもの、価値のあるものを手に入れていきたい
エッセイスト、クリエィティブディレクターである松浦弥太郎さんが"思い出になるお買い物"として、第1回目に選んだのは「眼鏡」。40歳を迎えた頃から徐々に目が悪くなり、生活に欠かすことができなくなったアイテムのひとつです。
若い頃はファッションアイテムとして、さまざまなモデルを試してきましたが、ここ最近はセルフレームとメタルの眼鏡をあわせて5本くらいに絞って、用途に応じて使いまわしているとのこと。
「実用性を考えると軽くてメタルの方が使いやすいので、仕事の際はメタルを使うことが多いですが、普段はセルフレームを掛けています」と語る、松浦さん。なかでもお気に入りで、最も愛用しているのは、1940年代のフランス製、「FRAME FRANCE」と呼ばれるセルフレーム。現在は価値が高騰し、ウン十万円ほどに。
今回は、この眼鏡を超えてくるような逸品に出逢うため、中目黒に店舗を構え、ヨーロッパやアメリカから珍しいヴィンテージを集めて販売するGIG LAMPS(ギグ ランプス)へ。
GIG LAMPSを運営する松島慶祐さんは、若い頃から海外への買い付け&販売を行なっており、かつては靴や服など幅広く取り扱っていましたが、眼鏡の面白さに惹かれてからは、こちらの道へ。
ここ中目黒で5年目を迎えますが、その前は初台・山手通り沿いにアポイント制の店舗を構えていました。その頃に松浦さんはお目当てのモデルを求めて立ち寄った経緯があり、松島さんの"ものへの興味"の向かい方が自身と似ていたことが縁で距離が縮まっていったのだとか。
じつは、今回も松浦さんにはお目当ての品、ずいぶん長いこと買うべきか買わざるべきかを悩んでいた1930年代のクラウンパントの眼鏡があったようですが、そちらは既に売れてしまったという悲しい事実が判明…。
松島さん曰く、「クラウンパントは人気なので、年を経るごとに球数はどんどん減ってきています。状態が良くて、サイズの良いものは かなり高額でもすぐに売り切れてしまいます」。
松浦さんお目当てのモデルは売れてしまいましたが、それに引けを取らないレベルのアメリカ製のボストンタイプや、1930〜40年のイギリス製のセル巻きタイプといったメタルフレームなどを提案していきます。
どちらも知的に見え、似合っていましたが…。