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FASHION 僕が捨てなかった服

手頃なことが功を奏し、とにかく増えていったエルメスのネクタイ

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人生には、どうしても手放せなかった服、そう「捨てなかった服」があります。そんな服にこそ、真の価値を見出せるものではないでしょうか。そこで、この連載では、ファッション業界の先人たちが、人生に於いて「捨てなかった服」を紹介。その人なりのこだわりや良いものを詳らかにし、スタイルのある人物のファッション観に迫ることにします。

良品ですが、クセがあるので、二束三文だったなんてときも

人生には、どうしても手放せなかった服、そう「捨てなかった服」があります。そんな服にこそ、真の価値を見出せるものではないでしょうか。そこで、この連載では、ファッション業界の先人たちが、人生に於いて「捨てなかった服」を紹介。その人なりのこだわりや良いものを詳らかにし、スタイルのある人物のファッション観に迫ることにします。中村達也さんに続いて登場するのは、株式会社スピラーレの代表取締役社長、神藤光太郎さん

神藤さんが膨大な数を所有してきた中でも捨てられなかった服をご紹介する企画の第2回目は、「エルメス」のネクタイです。

 

見た通り山盛りなんですけど、見かける度に買うクセがありまして。アンティーク屋で見たり、ネットオークションで見たり、蚤の市で見たり、年代も分からないまま とりあえず買ってみて、それから改造するんです。

古いものは大概 大剣が太いので、買ったらほぼ お直し屋さんに持って行って、細く直して貰っています。

ミラノに様々なデザイナーさんがネタを求めてアーカイブを見に立ち寄るヴィンテージショップがあるんです。そこのオヤジと仲良くなりまして、2003年頃のある日 ボタンを買いに立ち寄った際に「イイだろ?」的に進められて、この2本を買ったのがきっかけなんですが、それで一気に火がついて、とにかく見る度に買うようになってしまいましたね。

タグも時代別なのかもしれないんですが、色々な種類があるんです。「H」だけの表記のものもありますし、馬とデュック(四輪馬車)とタイガー(従者)のロゴが入ったものでも、表記されている文字が異なったりして面白いですし、あとは柄のバリエーションも とにかく豊富なんです。

ただ、使う人を選ぶのと、トレンド的にアウトになったタイミングがあったので、日本では安くなっていて、その時期にとにかく買い捲っていました。下手したら1本800円とかで手に入れたものもありますね。

柄ものではなく、エルメスらしい「H」マークが入ったものはブランド好きな方が買い求めるんでしょうが、こういった幾何学模様とか動物柄とかの分かりにくかったり、クセの強いものは手を出さないですし、エルメスのネクタイって少し短いのもあって、値段も安くなっていることが多く、どれも二束三文で手に入れさせて頂きました。最近では再評価され始めて、少し高くなりましたが…。

そんなこんなで面白い柄を見つける度に買っていたら、こんな有様になりました(笑)。

もちろん、どれも使っていますし、小紋柄なんかは結構使用頻度が高いです。それから、スーツの素材感が複雑なソラーロなどのときは重宝してくれて、意外に使い道も豊富なんです。

かつて、ピッティでクラシックなスーツにエルメスのネクタイをして、グッチのビットモカシンを合わせるようなスタイルが流行ったことがあるんですが、今また面白いかなって。スーツの素材やシェイプが変わって、ネクタイも細く直して今っぽい雰囲気にアレンジできれば、カッコいいと思いますし。

個性が強すぎて使わないものもあるんですが、捨てるには忍びなく手放せないんです。最近は買い控えているので買い足すのは止まっていますけど、また気になる柄に出逢ったり、何かのきっかけで再燃する恐れもあります。

使い込んでボロボロになってる感じも良いですし、そんな雰囲気も好きなので捨ててしまうことはないですし、減ることなく今後も少しずつ増えていくんだと思います(笑)。

Photo:Naoto Otsubo

Edit:Ryutaro Yanaka

神藤光太郎(しんどうこうたろう)
株式会社スピラーレ 代表取締役社長

クリエイティブディレクターとしてインポーター会社のメンズ部門を統括した実績をもとに、現在は新たなビジネスの準備に取り掛かる。イタリアのニットブランドを皮切りに、日本に魅力的なブランドを持ち込むべく、日夜奔走中。


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