FASHION ― 赤峰塾!間違いだらけの洋服選び

ドクトル赤峰と中島耕太郎が声高に訴える 「本当のクールビズ」とは?

2018.5.25 2018.5.25
2018.5.25

ジェントルマン道を極めるドクトル赤峰とファッション界のレジェンドたちが、イマドキファッションの風潮やヤワな着こなし、ガッカリスタイルなどをスパッと一刀両断! 男として、あるいは女として、「清く、正しく、美しく」生きるために必要な服装術や、服を着ることの意味・意義をストレートに語り尽くします。

前回に続いて、朝日新聞社の文化くらし報道部 次長の中島耕太郎さんの登場です。中島さんは、「明治維新150年ということは 洋装150年。私たちの装いの考え方は今、大きな曲がり角にきています。ファッションの作り手は“カタチとしてのデザイン”は ほぼやり尽くし、選び手は“ブランド”というこれまでの座標軸を失いつつある中で、“素材回帰”という流れがある。これは作り手と私たち双方の変化の時期であり、同時にチャンスの時期。本質が残ればいいなと思います」と語ります。

服だけどんどん増えていくという恐怖感

中島 赤峰さん、『フランス人は10着しか服を持たない』というヒット書籍があるんですが、日本の、時に女性は「毎日洋服を変えないといけない」という一種の強迫観念があって、それでクローゼットから溢れんばかりの服を持っています。

赤峰 「ファッションは毎日変えるものだ」ということにブレーキをかけること自体は すごくいいことです。

中島 消費に対して懐疑的に思っている人も多い中、みんなと同じで、時代に遅れまいと追っかけていくのが「ファッション」で、表層的な整え方をするのが「おしゃれ」という違う解釈もあります。

赤峰 私が今日着ているのは1995年に作ったリヴェラーノのスーツです。「そのダブル良いですね」と今でもよく誉められますが、もう23年着続けている(笑)。

中島 私は今日はAKAMINE Royal Lineのスーツを着てきましたが、赤峰さんから「男の基本3色は、紺・グレー・茶。それ以外は挿し色」とピシッと言われると、「あぁ、その組み合わせで考えればいいんだ」と腑に落ちる。そういうことを知らないと、服だけどんどん増えていくわけです。服を買いに行く人は、実はそういう救いを求めているのですが、どこでも習えない。

赤峰 ナポリのサルトが作るパンツも20年以上穿いているものがあって、そういうファッションじゃないものは延命力が強い。自分はそれを「良い買い物をした」という体験を話しているだけ。

中島 私たちは情報が欲しくてメディアを見ますが、すべてが等価に置かれていて整理されていないから、実はよくわからない。その代表が「クールビズ」です。

クールビズの決定的な欠点を指摘する

赤峰 今年も5月1日から始まったクールビズですが、中島さんはどう感じますか。

中島 弊社も5月からノータイで、ジーンズスタイルの管理職もいてかなり自由です。そんな中で、自分は気持ちとして「会社に勝負しにきた身なり」として、あえてネクタイをして出勤しますが、5月以降は半袖にチノパンのことが多いです。

赤峰 クールビズの大きな間違いは、2005年に当時の環境庁が装いの基本も分からずに「クールビズ」と一言発してしまったがゆえに ぐちゃぐちゃになった。クールビズ? プレミアム・フライデー? スニーカー通勤? 全部言葉が一人歩きしてしまって、「スポーツ庁長官の鈴木大地を呼んでこい、俺が説明してやる!」となってしまう(笑)。言葉そのものがファッションなんだね。本当に服の後進国なんだと思う。

中島 世界中で服を見ていると、日本人は装いにコンシャスだなと思います。サラリーマンはダークスーツを着て、ロンドンやNY、パリと変わりません。ただ日本の夏に関しては、売り手はジャケットやスーツを提案しますが、亜熱帯のような湿度と熱気の中で過ごせる、「ジャケットを着ないきちんとしたスタイル」を業界が提案すべき。

「日本のサラリーマンは、夏でもきちんとジャケットを着たほうがいい」とファッション業界の人は言うけれど、ハワイのアロハ、沖縄のかりゆしのように、ビジネスで着られるドレスコードとしておかしくない装いを創るべきです。

クールビズに代わる、クールなドレススタイルを創ろう

赤峰 クールビズに限らず、装いの基本は、「ビジネスという意味でのドレスマインド」です。パンツでも選び方一つで涼しく過ごせるものがありますが、誰も教えてくれない。

中島 赤峰さんを語る上でのキーワードは「ドレス」で、着飾ることでなく、きちんと着る。人に会いに行くときにはきちんと装うというのが“赤峰思想”の根幹です。ただ、ここは赤峰さんと意見が違いますが、ジャケットを着ていないとドレスコード違反だからと我慢して着させられていることは、おかしいといっていい。

亜熱帯の中を汗だくでスーツを着ているより、相手に不快感を与えないスタイルの方が大事だと思うし、実感としては、汗をかいたらこまめに着替える方がよっぽどドレスの考え方だと思います。

赤峰 クールビズになって、スーツから解放されたことで、勝手気ままな着方が増殖して、よく分からずしてクールビズだといっている。本当は「クールドレス」なんですよ。クールドレススタイルは、こういうことだというのを発信したい。

中島 世界でイノベーションのフロンティアにいる故スティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグなどは、「自分が気持ちいい格好」をしていて、サラリーマンからも見ても彼らはカッコいい。自分が気持ちいいスタイルを貫いていることが大事な時代に突入しているとも思います。

赤峰 今日、中島さんに会うので、開襟シャツ用の生地見本を持ってきました。

中島 赤峰さんのアトリエに、クラシックなヴィンテージの開襟シャツが飾ってあって、その型紙を起こして去年シャツを作りました。今年も1枚作ろうと思ってお願いしました。アルモ社の生地など夏向きにいいですね。

赤峰 開襟シャツは夏のスタイルとしてもっと広がってもいいよね。

素材コンシャスな時代がやってくる!

中島 ファッションでは、カタチのデザインは ほぼ出尽くしていると思っていて、今は作り手も選び手も素材に向かっている。今日 自分が着ているAKAMINE Royal Lineのスーツはハードリネンですが、今の時期に着ると本当に気持ちいい。私たちはファッションよりもっと根源的な「気持ちいいもの、丈夫なものを着たいという欲求」に抗えないと思います。

赤峰 素材となる糸を紐解いていくと、元の綿や動物の生態を知りたくなり、その先の土や水まで突き詰めたくなって、私はまるで洋服屋の「ブラタモリ」ですよ(笑)。

中島 世界中には様々な素晴らしい素材があり、日本にも尾州のウールなどがあって、その良さを伝えていこうと思う人はいますがマジョリティになっていません。本当にいいものを残していくためには伝えていかないと。

赤峰 そういう高まりは感じますね。ファッションを値段軸だけで語らず、「本当にいいものを1着持っていれば、なにも3着買う必要がない」というのも教えていくべきです。

中島 赤峰さんは素材もよくご存知なので、“素材コンシャス”なスタイルの提案もぜひ!

―「ドクトル質問箱」では、赤峰さんへの質問をお待ちしています。こちら「forzastyle@kodansha.co.jp」まで質問をお送りください。
 

ジャパン・ジャントルマンズ・ラウンジ
http://j-gentlemanslounge.com

Photo:Shimpei Suzuki
Writer:Makoto Kajii

KEYWORDS
赤峰幸生

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