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FASHION ー 僕が捨てなかった服

「僕が捨てなかった服」

スタイリスト小沢 宏 第5回 ボルサリーノのハット

2017.1.18
2017.1.18

メンテナンスしつつ使っている“僕”を象徴するハット

人生には、どうしても手放せなかった服、そう「捨てなかった服」があります。そんな服にこそ、真の価値を見出せるものではないでしょうか。そこで、この連載では、ファッション業界の先人たちが、人生に於いて「捨てなかった服」を紹介。その人なりのこだわりや良いものを詳らかにし、スタイルのある人物のファッション観に迫ります。トップバッターのファッションエディター山田恒太郎氏に続き、10回にわたり、スタイリストの小沢 宏氏が膨大な数の所有してきた服の中でも捨てられなかった服をご紹介する企画、第5回目は「ボルサリーノ」のハットです。

ボルサリーノのハットは、毎シーズン、コレクションでミラノに訪れる度に購入していました。ミラノの街中にはいくつかボルサリーノのショップがありますが、僕がいつも購入するのはドゥオモ側からガレリアに入っていき、スカラ座が見えてきたアーケードの端にあるショップです。ここは品揃え、サイズが豊富で、コレクションの合間に何度もショップに行き、いくつか購入して帰っていました。

帽子って汗染みができたり糊が剥げてきたりするし、なかなか洗濯も出来ないので僕にとっては基本的には消耗品なんです。そんな中で残っているのが、このボルサリーノのラビットヘアーフェルトのハットです。購入したのは10年ちょっと前だったかと思います。白というのがなんとも贅沢ですよね。そしてしっとり滑らかな手触り。

これは所謂クラッシュハットで、折りたたんだハットをこの紐でくるくるっとまとめていますが、本来この紐は、端をフラワーホールに付けて、万が一風が吹いても飛ばされないように、という目的の防風リードなんだそうです。

ボルサリーノは、最初は定番的なグレー、黒、ブラウンそして季節ごとに素材を変えてストロー、ファーなどと徐々に揃えていきました。いろいろ買って行きついたのが、この白いハットなんです。僕は服などをあまり神経質にメンテナンスするタイプではないのですが、これに対してはちょっと気を遣っています。汚れやすいので取り扱いに気を遣い、クリーニングに出したりメンテナンスして10年以上使っています。

季節や着る服、気分によって様々なハットやキャップを被っているのですが、その被っている姿が僕を象徴しており、アイコン化されているようなんです。先日も帽子を被っていない時に知人に挨拶をしたら、一瞬、は?と知らない人のような顔をされて(笑)。ボルサリーノに限らず、帽子が「僕」として記号化されたアイテムになっているんです。何故、帽子を被りはじめたのか記憶にないのですが、被っていないとなんだか落ち着かない、被っていると落ち着く、そんなアイテムなんです。

帽子は大正時代の男性のように、普段出かける時にぱっと被る、という感覚で使っています。でも、白いハットって日本ではなかなか見つからないし、何しろ汚れやすいので、実はこれはそんなに気軽に被っているものではないんです。ちょっとスペシャル。たくさん所有してきた帽子の中でも、これは捨てられなかったし、むしろ捨てたくなかったものですね。

Photo:Riki kashiwabara
Text:Yoshie Hayashima
Edit:Ryutaro yanaka

小沢 宏
スタイリスト、デザイナー
1964年、長野県生まれ。大学在学中に雑誌『POPEYE』のスタイリストアシスタントとしてキャリアをスタート。『POPEYE』を始め『BRUTUS』『Huge』『Uomo』『Men’s Ex』など様々なジャンルのエディトリアル スタリングを手掛ける。またデザイナーやプロデューサーとして数々の企業やコラボブランド、自身のブランド「オザワヒロシ エディストリアル」を手掛ける。ちなみにこのポートレイトでかぶっているキャップはニューエラの"9Twenty"というモデル。 ハットだけじゃなくキャップもいっぱい持っているが、わりと一軍で使用頻度の高いのがコイツ。

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