黄金比にあやかったモデル名を持つ一本
平日のスーツ姿はそれなりに様になっていても週末のカジュアルになった途端トーンダウン。もし女性からそんな風に思われたら40男にとっては一大事ですよね?
そんな時は初心にかえって、カジュアルの基本である「デニム選び」から見直すと、着こなしをスムーズに組み立てられます。
いまや一口にデニムと言ってもテイストは千差万別。それだけに万人に似合うデニムなんてモノは存在しないと思います。
大切なことはトレンドを理解したうえで自分らしい一本を選ぶこと。この連載に登場する逸品とともに、新しいデニム探しの旅へと出かけてみませんか?
ミリタリーパンツとエスプリとの出会い
今回はパリにあるセレクトショップの草分け的存在、ANATOMICA(アナトミカ)がリリースしているオリジナルのデニムパンツをご紹介いたします。オーナーのピエール・フルニエさんは長年ファッション業界に多大な影響を与え続けてきた人物。わかりやすいところだと、1980年代後半のフレンチブームの仕掛け人だったりします。
アナトミカの定番デニム「618 ORIGINAL(618オリジナル)」の最大の特徴は、アウトシームがない独特のパターンメイキング。このスタイルは1940年代のアメリカ海軍の作業用のパンツから着想を得たもので、内側のみ縫製が行われます。これによって、エスプリを効かせた美しいシルエットと快適な履き心地がこのパンツに宿るのです。
流行り廃りと関係なく、じっくり付き合える抜群の完成度!
実は「618オリジナル」を考案したのは、ピエール・フルニエさんとアナトミカの大ファンであったという、35サマーズの代表である寺本欣児さん。寺本さんが日本のクオリティの高いデニムを使って、アウトシームレスのパンツを作ろうとフルニエさんに話を持ちかけ、この企画が実現したのです!
「618オリジナル」のモデル名は、自然界で多く見られ、そしてデザインの世界でも多用さている、黄金比率の1:1.618の数字に由来します。ずばり、このパンツの魅力はその名に相応しい“着回し力”にあるのです。
その実力を証明するのが絶妙な裾幅のバランス。アナトミカの人気商品のひとつに「モディファイドラスト」採用した別注のオールデンがありますが、このモデルは当然のこと、ブーツからスニーカーまで幅広いシューズと合わせられるように設定しています。
このパンツの個性として、深めの股上も外せません。これは体型が崩れはじめていたり、股上の浅いデニムが少し苦手な方にはもってこいの提案。ヒップハングではなく、腰骨より少し上でタックインしてみると、それらしくまとまります。
生地作りも徹底的にこだわり、オリジナルの左綾のデニム地は非常に滑らかな肌触りが自慢。見事なぐらい縦落ちするので、ヴィンテージデニムさながらのエイジングにも期待できます。
このように流行に左右されない完成度の高い一本なので、じっくり時間をかけて穿き込むと「618オリジナル」が別格であるワケをご理解いただけるはずです。
Photo:Yasuhisa Takenouchi
Text: Shuhei Sato
【問い合わせ】
アナトミカ東京
03-5823-6186
http://anatomica.jp