「私、ある日そのことをSNSで愚痴として投稿したんです。そうしたら、友達作りアプリとか掲示板で調べれば、食べ歩きサークルがたくさんありますよ、と教えてくれたフォロワーがいたんです」
あゆなさんが辿り着いたのが、食べ歩きなどの活動をしているあるグルチャだった。グルチャとはグループチャットのことだが、SNSやビジネスツールなどで趣味仲間などを募って活動するサークルのようなものを意味する場合もあるという。
「ある有名な地域ごとの掲示板で調べてみると、私が暮らしている地域にも、食べ歩き仲間を募っているサークルがたくさんあったんです。嬉しくなり、女性メンバーが多くて高級系やエスニック系のご飯によく行ってるというグループを探してアプローチしました」
あゆなさんはその団体に快く受け入れられ、新メンバーとして加わった。
「そのグルチャでは、チャット上で情報交換しつつ、食べたい物と予定が合う人がオフ会として一緒に食事に行くという活動をしていました。メンバーは家族と食の好みが違っていたり、１人で外食するのが苦手だったりする人が多く、皆さんいろんな事情を抱えています。
この活動のお陰で、１人では入りにくい高級なお店や、今まで知らなかったエスニック料理店にも楽しく行くことができるようになりました。
夜は難しいのですが、ランチでも十分に高級料理を堪能できます。夫にはバレませんでした。オフ会は短時間なので、休日に友達と買い物行く、とか言えば簡単でしたし、会社や家が近い人と現地集合すれば、昼休みに一緒に食事することもできましたから」
しかし、初めてあゆなさんがこの活動のために有給を取り、グルチャメンバーとホテルのスイーツビュッフェに行く約束をしたことで、夫婦の結婚生活に暗雲がたれこめ始める。
しかし、グループチャットとそのオフ会を通じて、これまで満足できなかった食生活を満たすことができるようになった。
このまま夫にバレず、息抜き程度にグルチャでの食事を楽しんでいくように思われたが、会社の有給を取ってホテルのスイーツビュッフェに行ったことで、運命の歯車が狂い始める……。
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「スイーツビュッフェにやってきたのは、約束していた男女２人のうち、男性だけでした。女性がドタキャンしたんです。この２人とはチャットでもお馴染みな上に前にも２度ほどご一緒していたので慣れていて、１人来られなくなったとしても、あまり抵抗はありませんでした」
この男性はあゆなさんと食の相性が抜群に良かった。完全に高級志向というわけでもなく、たまにはB級グルメを食べに行く点、お酒も好きだが甘いものにも目がない点までよく似ていた。
「どこの何が美味しいというスイーツについての情報交換をしながら、２人で貪るようにスイーツビュッフェを楽しみました。企画もののビュッフェで１人6000円くらいかかりましたが大満足。夫なら『ケーキに6000円とかありえない』って言うと思う。本当に美味しくて楽しかったですね」
