90年代半ばは第三次モッズブームの真っ最中
意外かもしれませんが、実は誌上に頻繁に登場するのがモッズたち。モッズが誕生した60年代から数えて約30年が経った90年代半ばは、ネオ・ネオモッズと呼ばれた第三次ブームの真っ最中だったのです。当時は今よりもずっとファッションが音楽とリンクしていた時代。96年にTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTがデビューし、モッズスーツのカッコ良さに目覚めたキッズたちは、古着屋でM-51を血眼になって探し、こぞって洋服の並木へスーツを仕立てに行ったのでした。
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当時はHot-Dog PRESS誌上でも『いちばん旬な2大スタイル「モッズ」VS「バイカー」大研究』と題した特集を展開。当時は英国ユースカルチャーを反映したスタイルの第一人者であるスタイリストの馬場圭介氏が独立して脂が乗っていた頃。誌面にもマッシュルームカットにモッズパーカーという定番コーデや『さらば青春の光』よろしくフルデコのベスパが登場したりと、10代の若者がお洒落の一環としてスーツを仕立ててタイドアップしていた時代でもあったのです。
カート・コバーンというアイコンが作り上げたグランジ
もうひとつ音楽とファッションの絡みでいえば、シアトルでは80年代の終わりからニルヴァーナやパールジャムなどのバンドが誕生し、グランジムーブメントが勃発中。音楽ジャンルとしてのグランジはほぼリアルタイムで日本に上陸しましたが、グランジファッションが一般層にまで知られるのは、00年代に入ってナンバーナインがカート・コバーンをオマージュしたコレクションを作ってから。
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ですが、この人はイヤーマフ付きのキャップにダメージジーンズ&古着のカーディガンと「なんかカートを意識してませんか!?」と思わせる着こなし。これで70年代風のどデカいサングラスやモヘアのカーディガン、ジーンズの重ね穿きなんかをしていたら完璧だったんですけれどね。憧れのミュージシャンが載っている音楽雑誌を穴が開くほど眺めて「たぶんこんな感じの服を着てるに違いない」と服屋に探しに行った日々が思い出されます。
ファッションの歴史は何度でも繰り返される
あらためて90年代のスナップを見返してみると、いまのラグジュアリーブランドのムードも内包していたり、スケートや音楽などのカルチャーと密接な関係にあったことがうかがえて新鮮な気持ちになるもの。さらに90年代リバイバルが起こったことで裏原系や当時のTシャツに注目が集まってお宝化するなど、当時を知る世代からすれば「ホントですか!?」というような状況が起こっていたりするのも興味深いところです。さて、次回は当時を象徴するアイテムをキーワードに、90年代を振り返ってみようと思います。
TEXT:FORZA STYLE