現在、「既婚者同士の出会いの場」が増えている。
「既婚者合コン」のみならず、「既婚者専用のマッチングアプリ」は、恋愛だけではなく、「旅行」「スポーツ観戦」「ペット」「温泉」「カラオケ」など、趣味仲間と出会うツールでもあるのだ。
だが、男女の出会いである以上、トラブルもゼロではない。
今回取材に応じてくれた洋平さん(仮名・46才公務員/子どもアリ)も、既婚者の出会いでトラブルに巻き込まれた一人である。
「妻や子供との関係はうまくいっています。でも、平凡な日常にささやかな潤いが欲しかった。そこで、既婚者専用のマッチングアプリ『A』に無料登録してみました。
顔写真とプロフィール(ニックネーム、職業、年齢、居住地、家族構成、身長や体型、年収、趣味)の他、好きな女性のタイプを書き込み、その女性とマッチングしたら、アプリ内のチャットルームで自由にチャットができるシステムになっています」
アプリでは女性の写真やプロフィールが閲覧でき、気に入った女性には「いいかも♡」のボタンを押す流れとなっている。
洋平さんは顔写真を載せている女性3人に「いいかも♡」のラブコールを送った。洋平さん自身も、モザイクをかけることなく堂々と顔写真を載せていたため、相手にも同様の条件を求めていた。
「既婚者の出会いは、不倫目的と思われがちですが、僕は少し違うかな……。妻以外の女性とカフェで話したり、カラオケを楽しんだりして日常にささやかな楽しみが欲しかった。で、3人のうち1人の女性とマッチングしたので、チャットするようになったんです。」
相手は、理子(仮名・39歳)というエステティシャンの女性だった。
「大きな瞳が愛らしく、品が良さそうで好印象を抱いたんですが、『海外のミステリー小説が好き』と書かれてあり、一気に距離が縮まりました。
実は僕も海外ミステリーのファンで、アンソニー・ホロヴィッツ、エラリー・クイーン、アガサ・クリスティー、コナンドイル、ジェフリー・ディーバーなどを愛読しています。理子さんとはクリスティーの『オリエント急行の殺人』や『アクロイド殺し』で盛り上がりましたね。
その他のチャットも『おはよう。今日も猛暑だから体調に気をつけてね』『水分補給してね』『最近はどんな小説を読んだ?』など、至って健全です」
趣味の合う女友達ができたことで、洋平さんの生活に張りができた。
しかし、そんな潤いある生活は、ある日突然終わりを迎えたという。
「出会いから二週間ほど経った時でしょうか。突然、理子さんから連絡が途絶えたんです。『どうしたの?』『何かあった?』と送っても既読にならない」
洋平さんは、やり取りの中で理子が不快に思う「地雷」を踏んでいなかったか、たいそう心配したという。
そんなとき、予想外の出来事が起こる。