しかし、「大変さ」の基準は人それぞれであり、時間や収入などの数字だけでは測れない。
それゆえ家事は平等に負担を分け合おうというのが妻の提案だった。
「結婚する時に時間をかけて話し合い、家事をしっかり平等に分けたんです。今も一応そのルールを守っていますけど、やはり僕の中では納得できていません」
晴斗さん夫婦の生活では、買い物・炊事と食後の片付け・洗濯・ゴミ捨て・掃除といった主立った家事を「大家事」と呼び、曜日ごとに分担を設定しているそう。
ほぼ完全に半分ずつ負担している形だ。
「それに対して、不定期に行う細かな部分の掃除、晩酌やコーヒーの準備、家電の設定や管理、電球・電池の交換、冠婚葬祭絡み、ちょっとした家具の移動や町内会に関する用事といった雑務を「小家事」と呼んでいます。
小家事についてはその時にできる方がやろうと、最初に決めたんですね」
春斗さんは、本音では「大家事」の負担割合にも不満があるが、もうひとつの不満は妻が「小家事」のほとんどを春斗さんに押しつけることだという。
その時にしばしば「男の方がうまい、向いている」などという余計なセリフがついてくるのだそう。
「高い所の埃取りをする時とか、エアコンのフィルター掃除をする時は、春くんの方が背が高いからやってよと。踏み台使えば誰でも届く場所なのに。
あと、PCやテレビを買った時の初期設定も、『電気系は男子に頼むに限る』とか言ってやらせようとしましたし、実際僕がやりました。苦手な方だから何時間もかかってしまって……。
何なんでしょうね、電気系は男子の仕事って」
都合よく細かな家事を押しつける妻に、不満を覚える春斗さんを、さらに驚愕させたのが、彼女の持っているある倫理観だった。
「いつもは男女平等論者なのに、G退治だけは【男の仕事】だといって譲らないんです。僕だってGは鳥肌が立つほど嫌なんです。これっておかしくないですか?? 今年も啓蟄が怖いんです」
後編では、難しい家事分担に加えて、夫婦間で一番の問題となっている恐ろしい「虫問題」について詳報していく。
取材/文 中小林亜紀