「去年、義実家との同居を解消しました。理由は姑との性格の不一致。義実家を出てからはとてもストレスフリーで快適な日々を過ごせています」
明るい表情で話すのは、山田美優さん(34歳・仮名)だ。
彼女は結婚後、娘が生まれるタイミングで義実家との同居を始めた。
「私はそろそろ定年退職するし、孫が産まれたら全力でサポートするから安心して」と言われ、悩んだ末の完全分離型の同居。1階部分が親世帯、2階部分が美優さん世帯だ。
しかし、待っていたのは見栄っ張りな姑との価値観の違いや性格の不一致、義両親への気遣い、掃除や生活習慣への口出し......。自宅なのに安らげない日々だった。
危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏は言う。
「厚生労働省が2018年に発表した調査によると、義実家・実両親のどちらかと同居している割合は19.8%になっています。1993年には24.3%だったものの、年々減少傾向にあります。円満な同居生活ができればよいですが、なかにはストレスを抱えて思い悩み体調を崩してしまう人もいるほど。第三者へ相談して吐き出したり家族で話し合ったりして解決に向かえばよいのですが、そうでない場合、不仲になり同居解消に至るケースも少なくありません」
今回は、山田さん一家が同居解消をした経緯や解消後の生活について詳しくレポートしたい。
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現在の夫とは3年の交際を経て結婚し、その2年後には娘を妊娠した。
新婚当時は夫婦2人で1LDKのアパートで暮らしており、家族が増えると狭くなるため娘が生まれるにあたって引っ越しを検討し、近くで新居を探していたのだ。
その際、姑から同居の打診を受けていたそう。
「もともと夫の実家は2階建て。1階は祖父母、2階が夫の家族で住んでいたようです。玄関は別で外階段がある完全分離型ですね。私の実家も同じような感じで、幼少期から祖父母と住んでいたので『長男と結婚したら同居するもの』という価値観があったんです。同居したら家賃はかからず、産まれてくる子どもたちのために貯金できる。義両親は社交的でコミュニケーションも取れていたため、悩みましたがありがたく同居をさせてもらうことにしました。しかし、その決断でのちに激しく後悔するとは思いもしなかったんです」
交際当時から姑は美優さんのことを自宅に招き、たまに夕飯をご馳走してくれた。
結婚する前に1階の祖父母はすでに他界し、義両親は2階で暮らしており下の階は物置状態だったよう。
長男夫婦が来てくれるなら1階部分をリフォームして自分たちが住むので、2階部分へ引っ越してきたらよいのではと提案を受けた。
姑は明るくお喋りな性格で社交的。自宅に友人を招いてはお茶や食事を振る舞っているよう。
交友関係が広く世話好きなため、夫側の親戚づきあいも多く年末年始やお盆になるとたくさんのお歳暮やお中元が届くような家庭だった。
「私はやっと来年で定年退職するし、時間があるから孫のお世話をするね。子育てで困ったことがあれば相談して」そう言われて安心し、よいパートナーと義両親にも恵まれている自分はとても幸せと感じていたようだ。
それからトントン拍子に話は進み、娘が生まれてから夫の実家の2階部分に越してきた。
世話好きな姑は、1階でよく手料理を振る舞ってくれたそうだ。
しかし優しくて社交的と思っていた姑に対して違和感を抱くようになったのは、同居開始から半年が過ぎたあたりだと話す。