「その女性教員の方は、『軽く小突いただけだ』っておっしゃっていましたけど生徒の方はその後頭痛を訴えて、翌日から学校に来なくなってしまいました。でも学校全体の雰囲気としても『何を大げさな』という感じで……。『最近の子どもは本当に打たれ弱くて困るよね』とか『宿題をしてこなかった自分が悪いのに、それを棚に上げてなにを被害者ぶっているんだ』とか、小突かれた生徒に対する非難の声ばかり聞こえました。
私は、そのお宅に電話をして生徒の話をしっかり聞いていたのですけど、『そういう態度は学校にとって良くない』と他の先生に言われました。まずは生徒の話を親身に聞くべきだと思っていたのですけれど『親身になって聞きすぎると、学校に非があるということを認めることになるのでその対応は良くない。
もし学校側に非があると言われて訴えられでもしたら大変なことになるんだよ! 君の考えが他の先生方と違うことはよくわかっているし、普段は君の思うとおりにしてもらって構わないけれど、学校を窮地に陥れるようなマネはやめてほしい』と教頭先生に言われてしまって。
仕方がないので私は『気持ちはよくわかるけど、ずっと学校を休み続けることはあなたの人生にとってベストの選択にはならないと思うから、頭痛がしない日は学校に来た方が良いと思う』とその生徒に伝えました。元々ひょうきんな子で、彼の周囲の友達も『休まずに学校へ来いよ』と頻繁にその子に連絡を取ってくれていたので、5日ほど休んだ後、普通に登校するようになりました。
彼を小突いた教員はまるで何もなかったかのように彼に接していましたし、彼の方も普通にその先生の授業を受けていましたので、私が過敏すぎたのかもしれません……」
そう言って璃子さんは苦笑いをした。とても小さな体罰が、そうやってうやむやに流れていくからこそ、「体罰事件」がなくならないのではないか。彼女はそんな風に考えているのだ。しかし他にも彼女を困らせる教師はいる。
☆次回、そんな璃子さんはさらに体罰について他の教師に意見を求めた。彼女の取った衝撃の行動とは......。反面教師として読み進めてほしい☆
ライター:八幡那由多