そもそもダサいという手厳しい意見も
いきなり冒頭から結論を出してしまいましょう、“アリ”だと思います。
なんてことを断言すると、クラシックスタイルの紳士からは厳しいお叱りを受けそうですが、近年ドレスコードの多様化によりオフィスカジュアルやビジネスカジュアルが浸透。
ビジネススーツの境界線があいまいになってきた この時代・日本において、この問題は もはやナンセンスなのかもしれません。
しかし、就活時に多くの人が習ったよう、スーツにリュックは不適切とされており、その影響が根強く残っているのも事実。
実際のところ、ある程度信頼関係ができているならば何も問題ないわけですが、やはり商談や営業などでは不向きであり、まだ現段階では TPOに順ずるといったところでしょうか。
通勤ラッシュには必ず『混雑時リュックは前に抱えるよう』とアナウンスされますが、そこは道徳的なお話。
この組み合わせはビジネスマン定番のスタイリングになっているから、揺らぐことはありませんし、きっとこれからますます緩和されていくことでしょう。だからこそ、最低限のマナーだけは遵守で!
昨今、通勤時にダレスバッグを持ち歩いている人なんかは、ほとんど見かけませんし。
なにより、リュックは両手が空くため機動力が増し、またPCや着替えまでも収納可能な容量が担保されているため ついつい重くなりがちではありますが、重心も取りやすく身体への負担もある程度分散できるのもメリット。
おまけに酔っ払ったときでも ちゃんと肌身離さず背負えてますし、メリットは数え切れないほど。
だからこそ、過去記事でもビジネスシーンでも“アリ”なタイプを紹介していますが、今回筆を進めたいと思ったのは別のベクトルからでして…。
そもそも、何故スーツとリュックの相性を再考したのかというと、日中の営業で くたびれたジャケットを夜中ブラッシングしている際、肩の生地擦れや毛玉が目立ち始めていることへの気づきから。
この瞬間、衣類からの視点で考えてみたところ「スーツにリュックはナシなのかも…?」と思い始めたんです。例えるなら、知らぬ間に人を傷つけていたときの感情??
そうは言っても、スーツやニット類に毛玉ができたらなら、「毛玉取り(毛玉クリーナー)で刈り取ればいいじゃん」と。それも分かります。
ただ、コロコロ(粘着クリーナー)同様、毛玉を取るって行為は繊維をどんどん痩せさせてしまうかなり乱暴な対処法なんです!
最悪の場合、ガッツリ穴も空いちゃったりして、お気に入りのスーツやニットが使いものにならない悲劇だって…。
だからこそ、トラブルを防ぐために日々のお手入れやブラッシングが重要になるわけです。
このように、あえて洋服目線に立って制約を設けてみるものファッションの面白い側面ではないでしょうか?
学生の頃、バイトでお金を貯めて背伸びしながらも購入した洋服を、まるで宝物のように扱ったみたく、モノを大事する心構えが身につくと、普段の所作まで自然とブラッシュアップされていくから なんとも興味深い。
シャツの首まわり、スラックスやジーンズのサイズをキッチリ把握・固定して体重増加を防いだり、黒い服は死者に祈るときにだけ着るとルールを設けたり。
“自分を変えるには、まず環境を変えろ”ほど大袈裟ではありませんが、普段何気なく身に着けるアイテムを見つめ直し、掘り下げることで、ちょっとした気づきに めぐり合えるってもんです。
TPOに配慮しながらも自分のファッションを楽しんでもらえれば幸いですが、ただ流石にビジネスシーンにおける黒いスーツ×黒リュックの組み合わせだけは……、ちょっと考えもんですけど。毎日、結構な確率で見かけますが。
TEXT:FORZA STYLE