主役級の俳優揃い、息を吐かせぬ怒涛の展開、細部に渡る伏線回収…日曜劇場『VIVANT』は回を重ねるごとに話題を呼び、17日についに最終回を迎えた。SNSなどでは続編への期待が高まっている。
危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。
「昨今、テレビドラマは視聴率があまり取れなくなっています。そもそもTverをはじめとする配信があるので、リアタイする人が少なくなっているんでしょう。若い世代はテレビ自体を持っていないという人も多いようです。そんななか、最終回の世帯視聴率は19.6%。前回の放送から4.7ポイント上回ったようですから、世間からの注目度の高さがうかがえますね」。
昨今、テレビはYouTubeやNetflixなどの動画配信に押され気味な印象がある。
「YouTubeやNetflixをはじめとする動画配信サービスをテレビで観る人も増えています。2022年4月の調査で、日本にあるテレビのうち30%がすでにインターネットに接続したいわゆるスマートテレビでした。この数は今後、確実に増えていくでしょう。ちなみに2025年にはスマートテレビにおける配信動画視聴が50%にもなると予想されています。テレビを観ると一口に言っても、民放の番組をテレビ本体で観るだけではなくなったということです」。
見逃しを防ぐことができたり視聴スピードが上げられたり、配信だけの企画があるなど、配信には配信にしかない魅力もある。
「TverやNetflixなどの配信は、スマホで観ているという人も多いでしょうね。スマホならいつでもどこでも観ることができますから。昨今ではSNSを連動させたり、『VIVANT』においてはファンミや特別番組まで組まれました。ドラマの楽しみ方も進化をしているんですね」。
今回はそんなドラマが大好きなある女性に起きた困りごとについて話を聞くことができた。
………………………………………………………………………………………………………………
本庄はるなさん(仮名・34歳)は、毎日仕事と食事以外、ほとんどスマホを見ていると話す。
「SNSが中心でしたが、最近はTverとネトフリも観ますね。久しぶりにドラマを観たら沼った感じです。『VIVANT』ももちろん観てますよ!でもリアタイすることはないです。基本配信」。
家にいてもリアルタイムで視聴はしないという。
「うーん。ほかの SNSを観たりいろいろ忙しいし、タイミングってあるから。私の場合、オンタイムでやっているドラマは配信終了ギリギリに観る感じが多いですねー。すごい推しが出ているとかだったらリアタイすることもありますけど、ほぼほぼないかも」。
そもそもはるなさんの家にはテレビがない。
「まあ、必要ないんで。スマホとPCがあれば十分です。私はNHKとか観ないんで、そうなるとTverで十分なんですよね。前回引っ越しをしたときに捨てました。NHK料金とかも面倒なんで捨ててよかったです」。
これが今の若い世代のリアルなのかもしれない。
「周りにもそういう人が多いですね。実家暮らしとかなら別ですけど。わざわざテレビ買うなら、新しいスマホ買うかも」。
確かに。今やサイズを選ばなければ、最新版のiPhoneより安いテレビはゴロゴロある。そんなスマホでテレビ番組や配信を観るはるなさんだが、職場では稀有な存在らしい。
「私の職場は、年上の人が多いんです。30代は私ともう1人だけ。あとはみんな40代後半から50代の女性です。あの世代の人たちって、本当にスキャンダル好きですよね。休憩室での会話はワイドショーそのもの。興味ないけど、知らんぷりするのもアレなんで適当な相槌を打っています」。
しかしはるなさんにはこれだけはやめてほしいということがあるそうだ。
「とにかくなんでもすぐネタバレする先輩がいるんです。特にドラマはヤバい。テレビでドラマをリアタイしているから、放送日の翌日はネタバレの嵐なんです。多分なんですけど、Tverの存在を知らないんじゃないかな?ここまでいったらだめか〜とか言いながら、もうほとんど内容を話していることもしばしば。めちゃくちゃ楽しみにしてても、ネタバレされると正直萎えます」。
とはいえ、はるなさんよりはかなり年齢も職歴も上のため、無下にもできない。さらに反論して面倒くさくなることは避けたかった。
「だからまだ観てないんですよ〜くらいにとどめていました。するとそうなの〜と口では言いますがお構いなし。ネタバレしまくってきます。最近はさらにうざいことがあって…」。
どうやら『VIVANT』が始まってからというもの考察に力を入れているというのだ。このドラマは、芸能人にもファンが多く、そこかしこで考察が繰り広げられ、それが話題にもなっていた。
「先輩のはたぶん芸能人の方々がしている考察の受け売りなんでしょうけど。誰が裏切り者だとか、あの伏線はここで回収されるとか。正直、そんなの聞いてないんですけど、周りが盛り上がっていると勘違いしているんでしょうね。すごい有識者ぶってて、イタい感じです…」。
そんな先輩がいることもあり、はるなさんはしかたなく放送日にリアタイすることが増えたと話す。
「他のドラマは我慢できましたが、『VIVANT』はまるで想像ができない展開だったのでネタバレされちゃうと面白みが全然なくなっちゃうんで。もう仕方ないですよね…」。
【後編】では、ネタバレ先輩を撃退した意外すぎる方法について詳しく話を聞いていきたい。
取材・文/悠木 律