■AE86のコンバートをみて感化されたのでは?
東京オートサロン2023で、トヨタが2台のAE86 EVコンセプトを発表したのを覚えている方は多いだろう。トレノは水素燃焼エンジン車に、もう1台のレビンはバッテリーEVに、パワーユニットをコンバートし(しかも、どちらも5速マニュアルミッション!)、ショートサーキットを走るレベルまでつくり込まれていたのには驚かされた。
日産は、「R32EV」プロジェクト発足の理由について、「GT-Rに憧れて入社した技術者が「最高に好きなクルマに、いま自分が関わる最新の電動化技術を載せて、もっとワクワクするクルマを造りたい」という思いから始まりました。」(3月28日の日産公式SNS(Twitter、Instagram)より引用)としており、トヨタのようなトップの指示提案というよりも、有志が集まって会社側へ提案することで始まった企画のようす。この集まった有志のなかには、トヨタのAE86のコンバートをみて感化された人も少なからずいるのではないだろうか。
日産には、「日産名車再生クラブ」があるが、これは「復刻」が目的。今回は、「今自分が関わる最新の電動化技術」を織り込むということなのだから、相当な力(と予算)がかけられているはずだ。
■R32を3Dスキャンで計測するようすや、部品を外していくようすも
4月6日に公開されたVol.3では、EVコンバージョンするR32型スカイラインGT-Rの姿が公開された。場所は、筆者もかつて行ったことがある、日産の試作部だと思われ、ガングレーメタリックのR32は、外装や内装、エンジンルームも比較的きれいで、かなり状態のいい個体にみえる。SNSでは、「こんなに綺麗なR32をばらすなんてもったいない」や、「RB26DETTエンジンは保存してほしい」、といった声が多く寄せられていた。たしかに、分解してしまうにはもったいないほどきれいな個体だ。
続くVol.4(4月13日)では、エクステリアからインテリア、さらにエンジンルームまで、計測のためにたくさんのマーカーを貼り、3Dスキャナーをあててデータ化している様子を公開している。自車モデルであるR32を、しかもエンジンルームだけでなく、なぜ内外装まで詳細にデータ化するのかは謎だが、おそらく3Dデータを作り直し(R32開発当時は紙の設計図だったはず)、エンジンルームなどのレイアウトを考えるためだろう。
Vol.5(4月20日)では、「新しく生まれ変わるために内装部品が丁寧に取り外されていきます」という文章とともに、車両分解する様子を公開。ハンドル、シフトレバー、インパネ、シートなどが外されていった。トヨタのAE86プロジェクトのように、ボディ再塗装やボディ補強までされるのかは不明だが、ひとまず改装は順調に始まったようだ。