だからA君もそのパターンだなあとは思いましたけど、ここはびしっと言っておかなければいけないので、『個性というのは髪の毛の色で身につくものではありません。ご本人がもっとなぜその髪の色にしたいのかなど説明できるようになってからであればよいですが、今のところA君とお話していても『茶髪でなければならない』というような気概は感じられません。
そもそも、A君のアイデンティティは『茶髪』でなければ保てないものでしょうか?もし彼がどうしても茶髪でいたいというのなら、私のところに一度本人が話をしに来るようにと伝えてください。
私は、やみくもに髪の毛を染めることが悪いと言っているわけではありません。髪を染めなければ外に出ることができないほどの苦痛を感じるというのであればもちろん、生徒指導主任や校長と話をしてOKを出してもらうようにします』とながながと、ご両親の顔をしっかり見てお話をしました。お父様の方は『生意気なことを言うな!』とかなんとかごちゃごちゃ言ってらっしゃいましたけど、最終的にはお母様が『わかりました』って言ってお父様を連れて帰って下さいました」
そう言って夏子さんは少し笑う。彼女のようにはっきりと太刀打ちできずに窮地に追い込まれる教員も多い。
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