「『男性を装って作ったアカウントだったことと、彼の友人ともSNS上でやりとりするようなアカウントに育てていたことが功を奏したみたいで、作戦を開始してから3カ月ほどで、Bさんの裏垢を見られるようになりました。』ってCちゃんはウキウキしながら言っていましたけど、警察のおとり捜査みたいなことを可愛らしい女の子が平気でやってのけているのだと思ったらぞっとしました。アカウントを育てるっていう言葉も初めて聞く言葉だったので、そのことを彼女に伝えると『みんなやっていますよー。』って笑っていましたけど」
と言って悦子さんは顔をしかめた。
「でも、Bはもともとそんな品行方正な子ではないので、SNSの裏垢にたどり着いてみたら、女性との2ショットやら男性同士で下品なことを叫びあっているような動画が出てきて、Cちゃんは幻滅したみたいです。
『どんな人が好みなのかなーと思っていましたけど、お金があってエロい女性が一番とか、お金持ちの女性に買われたいとか、バレエをしているようなガリガリの女性はまじ勘弁とか、なんだかがっかりすることばかり言っていたので、フォローも外しました。』ってケロッとしていました。『彼の本当の姿も知らずに夢中になっているほかの人が可哀想。』なんて、ちょっとした優越感も感じているみたいでしたよ」
悦子さんはそう言って思わずと言ったように笑う。Cさんはまた別の男性バレエダンサーに夢中になっているそうだ。
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