「マッチングアプリ」
今やこのマッチングアプリを使って恋愛を成就させているカップルも多い世の中だが、失敗事例も同じ数ほどあるのだろう。今回も、FORZA STYLE「ライフ」取材班がレポートする。
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当時、佐山祐樹(仮名・21歳)さんは専門学生。
中学高校と、彼女もいなければ、女友達ですらごく少数の人生を送ってきていた。
友人が次々と付き合い始める中、焦りを感じていた祐樹さんは、なんとしてでも彼女が欲しいと、マッチングアプリで隙間時間を見つけては何人かと連絡を取り合うようになっていた。
そして、始めてから約半年が経過した頃。いつものように、マッチングアプリを眺めていたときだった。
同い年で、住まいも祐樹さんの家から徒歩15分、さらに加工画だが明らかに可愛いとわかる、飯島花香(仮名)とマッチングした。
祐樹さんは親近感を覚えたがあまり期待は抱かず、いつものように連絡を取り合ってみた。
すると、花香との会話は優しさが滲みあふれていて、通話した時もよく笑う、絵に描いたようないい子だったそう。まだ会ったことはなかったが、アイコンの画像と性格の良さなどで、祐樹さんはすでに好きになっていた。
しかし、さすがに会ったこともない子に急に告白するなんて考えられず、祐樹さんは一緒に食事に行こうと誘った。
すると花香は二つ返事でOK。
デート当日、祐樹さんはいつもより自分に時間をかけ、完璧に仕上げて花香に会いに行った。
しかし、祐樹さんは花香に実際に会うまで、あることを忘れていた。
アイコンは加工。
実際はアイコンとは程遠い、むしろ面影など一つもないほどの別人だった。しかし、祐樹さんは性格に惚れていたんだと自分に言い聞かせて食事に向かった。確かによく笑うし、性格も優しい。
そうだ人間、顔だけじゃない!と思い、食事を始めると「くちゃくちゃ、カチャカチャ」なんとも行儀の悪い子だった。
祐樹さんは冗談気味に「くちゃくちゃして食べないの!w」と注意をした。
すると花香は一言、「は?」
それまでニコニコしていた顔は眉間にしわが寄り、優しかった目はまるで人をにらみ殺せるのではないかと思うほど、鬼の顔になった。
祐樹さんはこの時点で「この子とはここでお別れだな」と思ったのだが、どうやら花香は違ったらしい。
「ねーねーこの後用事ある? 用事ないなら私の家に来ない? いいことしてあげるよ?」
花香の言う、「いいこと」という言葉に多少揺れたが、祐樹さんは「いや、もう夜も遅いしまたにしよう。今日はありがとね」と言って別れようとした。
すると花香は「わかった」と一言。内心ホッとしたが、まだ続きがあった。
「そのかわり、これもらってくれる?」
それは手作りのクッキーだった。クッキーが好きだった祐樹さんは、そのクッキーを受け取り、彼女と別れ家路についた。
多くの男女トラブルを手がける、危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏は言う。
「若者の間では利用者も増え、使うこと自体が普通となったマッチングアプリですが、まだまだ対策等不十分な点も目立ち、事件に巻き込まれるケースも増えています」
恐ろしいことに、ここからが花香にとっての始まりなのである。
衝撃の次回へつづく。
Text:FORZA STYLE