比翼仕立てで、ラペルのストラップを閉じるとマオカラーのように変化
さて、198回めはエルメスのチェスターフィールドコート「リバプール」。まもなく届く200回というキリ番に向けて、またまたエルメス推しでいきます!
齢45を目の前にし、小5くらいから服を買いまくってきたら、正直必要な服とか 欲しい服ってなくなります。オトコが持つべきアイテムも 下手したら2個以上ずつくらいは手元にあるし…。
それでも、ファッションを生業とする以上、マーケットの動向はチェックしないといけないし、料理人が包丁や料理道具、はたまたお客さんに提供する際のお皿にこだわって、買い足しをするように、僕らもなるべく買う行為を止めてはいけないなと思っています。実際に着てないヒトの意見、原稿なんて 全然説得力ないだろうし。
でも、これだけ見まくって着まくったら 普通のものでは満足できない。となると、自然とエルメスとかロロ・ピアーナ、ブルネロ クチネリ辺りへと足が向くわけです。
はい。エルメス買いまくってる言い訳 終了!
で、今回のチェスターフィールドコートですが、以前に何回も紹介しているようにシングルからダブルまで何着も持ってる…。なんなら極上のカシミアやベビー・カシミアに至るまで……。
それでも、なぜこのコートを清水ダイブしてしまったのか? 真相は いまだ分かりません。
それこそカシミアの柔らかくて軽いコートばっかり着ていたから、打ち込みの強いウールのコートを羽織った感じが新鮮だったとか。とはいえエルメスですから 柔らかくてモチっとは してます。
こんなチャコールは持ってなくて、そのとき着ていた服に合ったし、使い勝手も良さそうだなと思ったとか。
仕事がんばったから何かしら自分へのご褒美を買いたい感じになってて、一番好きなアイテムであるコートなら許せるなと思ったとか。
弱めな要素は いろいろありましたが…。おそらく決定打となったのは、ラペルについたボタンホール付きのストラップを閉じると、マオカラーっぽくなるところ。かな。
しかも比翼仕立てなので、前身頃のアクセント的なものが ほぼ消え、ミニマルでストイックな印象になる。
そうなることで、襟裏とストラップ裏に貼られたエルメスが誇る極上のレザーが、さり気なく効いてくる感じが新鮮だったし、カッコ良く見えたんですね。
じつは 同じ型でキャメルヘアーもあって 素敵だったんですが、そちらはレザーが目立ちすぎて 躊躇。足踏み。
そして勢いに任せて、えいやぁと清水ダイブし、例の大きなオレンジの紙袋を提げて家路につき、奥方に見つからないように そーっとクローゼットに忍ばせたわけです。さも前から持っていたかのように。
ただ袖を通したら、「そんな色のコート持ってたっけ?」と、見るなり即座に牽制されましたが…。
オンでもオフでも使えるシングルのチェスターフィールドコート、"こんなん なんぼあってもイイですからね!"
"一番イイですからね"
"ねー。ありがたいですよ、ほんとにね"
"ちょっと ポケットに入れておきましょう"
って、いやいや…。なんぼあってもイイとはいえ、二桁届きそうなほど買うのはナシですよね……。明日から気をつけます。
Photo:Shimpei Suzuki(item)
Edit:Ryutaro Yanaka