究極のミリタリーウェアをつくりました!
こちらは「1 piu 1 uguale 3(ウノ ピュ ウノ ウグァーレ トレ)」と組んで、今秋発表したカプセルコレクション「BLACK MILITARY BY YOSHIMASA HOSHIBA」からの一着です。
完全受注生産のため、すでにオーダー期間は終了。同プロジェクトは、自分が、今着たいと思える究極のミリタリーウェアをつくることを目的に始まったのですが、この「N-3B」型コートは第二弾として登場したもの。ちなみに第一弾はピーコート、第三弾では「B-3」型ジャケットをリリースしました。
男がカッコよく見える服って、実はそんなに多くないと思うんです。スーツやライダース然り、白シャツやデニム然り……。
僕が男のファッションで重視するのは、シンプルでいて上質なこと。そして、機能美溢れるミリタリーウェアも、男のファッションにとって不可欠な存在だと考えています。ミリタリーウェアの魅力は、何と言っても現在のメンズウェアの源流であり、極限状態で身を守るために限界まで研ぎ澄まされたデザイン。その男らしさに取り憑かれ、かれこれ半世紀いろんなミリタリーものを着てきました。
かつては本物の軍服を買って、自分の体型に合うように袖幅や身幅をお直ししたりしていましたが、それでもサイズが合わなかったり、素材が重すぎたり、古着特有の匂いがしたり、なかなか気に入ったものに出合えないんですよね。もちろん、渋カジ世代ですからオリジナルミルスペックこそが神という意見もわかります。でも、そこはそろそろ柔軟になったほうがいいかなと。
で、このコレクションをつくるとき、最初に考えたのが見た目は完成されているので、できるだけイジらず、着心地をラグジュアリーに昇華すること。
例えば、表地には、イタリアのリモンタ社によるストレッチ性と撥水性を備えた最高級ナイロンを使用。上質なカシミアを使ったダブルフェイス素材のため暖かさも十分です。
また、中綿には通常の中綿より2倍近く保温性のある「Airpack」を採用。ファーにはフォックスファーを用い、ゴージャスな印象とこげ茶の色合いにより落ち着いた大人の雰囲気を醸し出しています。
さらに裏地には肉厚な高級キュプラ「ベンベルグ」を用いたのもポイント。吸湿性が高くさらりとした肌触りで静電気が起こりにくいのが特徴です。
N-3Bというと、デザインはどれも一緒と思うかもしれませんが、今回は初期モデルの暴風フロントフラップの長さを踏襲。ディテールは限りなくオリジナルのデザインを再現しています。
ただ、ちょっとアレンジさせてもらったのが着丈。通常よりかなり長めに設定して、コートとして着られるようにしました(何しろ寒がりなもので……)。色は黒のみ。
来年の1月、フィレンツェ、ミラノに、これを着て出張するのをイメージしてつくったのですが、行けるかな。何はともあれ、早くコロナ禍が終息しますように。
Photo:Ikuo Kubota(OWL)
Text:Toshiaki Ishii