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【ビジネスの現場でも⁉】身近に潜む共依存に要注意

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自覚することが脱却の第一歩

相手のことを大事に思っているのに、何だか息苦しい……。そんな人間関係で悩んでいる方はいらっしゃいませんか? もしかすると、それは「共依存」かもしれません。

共依存は、カップルだけでなく様々な人間関係に表れます。はじめはお互い上手く噛み合っていても、やがて破綻へとつながる問題です。

今回はそんな共依存の問題と対処法を紹介します。どうぞ、参考にしてみてくださいね。

目次

◆共依存について
 ・意味
  ①依存
  ②共依存
 ・何が問題なのか

◆共依存に陥りがちな人の特徴
 ・機能不全家庭で育った
 ・自己肯定感が低い
 ・世話焼き
 ・ストレスフルな仕事や人にひきよせられる
 ・不安感が強い
 ・決断することが苦手

◆共依存カップルの特徴
 ・パートナーが最優先
 ・相手がいないと落ち着かない
 ・第三者の意見を聞かない

◆カップル以外のケース
 ・親子関係
 ・介護
 ・上司と部下
  ①過保護な上司とおんぶにだっこの部下
  ②リーダーシップのある上司と優柔不断な部下

◆脱却方法
 ・環境を変える
 ・自分の時間を充実させる
 ・専門家に相談する

◆まとめ

◆依存と共依存

まずは混同されやすい「依存」と「共依存」についてしっかり理解を深めていきましょう。

・意味

共依存の状態は、凸凹の形に例えて考えるとわかりやすくなります。

無視をされるなどの存在の否定などで受けた傷は、心にぽっかり穴が空いたような状態(凹)だと仮定します。一方で、「満点をとれば叩かれない」など、ある一定の課題をクリアすれば許されるというような条件つきの関係で受けた傷は、大きなコブのような形(凸)だと思ってください。

この凹型の人は、「依存」という代替行為によって何かをしてもらうことで、心の穴を埋めようとします。凸型の人は、「共依存」という代替行為によって相手に尽くすことで、自分の価値を確認します。この二人の需要と供給がぴったりはまってしまったとき、ずぶずぶの共依存関係となってしまうのです。

それでは、依存者と共依存者について詳しく見ていきましょう。

①依存

アルコール依存症や薬物依存症など、こちらは比較的人口に膾炙した表現だといえるでしょう。さきほども述べたように、「依存」という行為に走る人は、何か一つの物や事に没頭することで、心の穴に吹きすさぶ虚無感を感じないようにしているのです。

もちろん、趣味に没頭するのは何の支障もありません。しかしそれは節度を守っていることが前提です。たった一つの行為にはまって日常の生活がおろそかになったり、周囲に迷惑をかけるようになるれば、依存状態だといえます。

例えば、休みの日に息抜きにパチンコをするのは構いませんが、そのために借金を繰り返したり仕事を辞めれば、当然問題となりますよね。これはもうパチンコ依存症です。

つまり人間関係での依存とは、相手に没頭することで心の穴を埋めようとするということです。

②共依存

そんな依存者の影で、より深刻な事態となっていたのが「共依存者」です。

昔は依存症が問題視されていました。そんな治療に当たっていた医者が、なかなかよくならない患者を診て一つの傾向に気づきます。それは、いつも依存症患者に付き添っている、献身的な妻や母親などの存在でした。彼女たちは、依存症患者に対して自分を犠牲にしてまで過剰に世話をしたり、相手の行動をコントロールすることに力を注ぎます。そして、その人が負うべき責任やすべきことまでも、請け負ってしまいます。つまり、他人の世話をすることに自分の存在価値を見出しているのです。医者は彼女たちを「共依存症」と名づけました。

英語ではこうした行為を「enabling」と言います。これは「依存者が依存を継続するように手を貸してしまう」という意味です。依存とは本人に自律性がなければ、すぐに舞い戻ってしまいます。たとえ共依存者が相手のためを思っていたとしても、世話をし続けるというのは、相手が依存し続けることを助長するということになってしまうのです。

上記からわかるように、共依存関係とは「依存者の世話をすることに依存する」状態なのです。典型的な二人の関係は、迷惑をかける人(依存者)と、迷惑をかけられながら支える人(共依存者)というものになっています。そのため、恋愛関係や親子によく見受けられるというわけです。

・何が問題なのか

共依存関係では、依存している相手がいなくなると自分の存在意義がわからなくなってしまいます。悪化すると、自殺を考えるようになったり、二人の関係を邪魔する(ように思った)他者を排除するといった暴挙に出ることも。このような理由から、共依存関係は非常に危険な関係性だと言えます。

◆共依存に陥りがちな人の特徴

それでは、どのような人が共依存になってしまうのでしょうか。実は共依存の人々の特徴はかなり共通するものが多いことが分かっています。ここではそんな特徴についてしっかりと見ていきましょう。

・機能不全家庭で育った

これが共依存に陥りがちな人の最大の特徴です。幼少期に、親から育児放棄されるなどの虐待を受けた人に多くみられます。また、行き過ぎた過保護や厳しすぎる教育熱心な家庭の場合でも、愛情を得るために条件が必要だという刷り込みがなされてしまいます。

・自己肯定感が低い

共依存になる人は、欠乏感が強く自己肯定感が低い傾向にあります。そのため、自分は「ありのままで愛されるに足る存在」だと思えず、相手に尽くすことで愛されようとしたり、見捨てられることが不安で束縛してしまうのです。

・世話焼き

共依存体質の人は非常に面倒見がよく、自分の気持ちを抑えてまで相手に尽くします。なぜかというと、感謝されることで自分の存在意義を肯定するためです。

誘いを断らないのも自分の都合や気持ちを後回しにするのも、ひとえに「あなたがいて助かったよ」といった言葉がほしいから。そのため、必要とされたり感謝されることで最大限のパフォーマンスを発揮できるという強みを持っているとも言えます。

ただの面倒見がいいだけならば長所だと言えますが、反動で「ここまでやったのだから評価されて当たり前だろう」という想いを持ってしまうと自分自身もつらくなってしまいます。

・ストレスフルな仕事や人にひきよせられる

共依存傾向がある人は、自身が犠牲になるほど安心するという傾向にあります。そのためストレスフルな仕事や人間関係に引きつけられる傾向があります。

例えば、なぜかDVオトコを渡り歩いている女性やブラック企業ばかりを経験している人はその傾向にあります。自身の負担が多ければ多いほど、必要とされていると錯覚して抜け出せなくなってしまうのです。

・不安感が強い

共依存の人は「強い不安感を常に感じている」という特徴があります。これも多くは幼少期に親から「怒られるのはお前のせいだ」と、自分のせいにされてきた経験があるためです。そのため常に相手の顔色をうかがったり、自分の選択に自信が持てない傾向があります。

・決断することが苦手

例えばランチの場所を決めるときなどに、つい「どこでもいいよ」と言ってしまいがち人も多いでしょう。決めるのが面倒であったり、他の人に希望がありそうな場合もありますから、一概に「どこでもいいよ」がよくないと言っているわけではないのですが、なんでも決められないタイプの人は共依存になりやすいと言えます。

このような特徴を持つ共依存の人の背景には、次のような子供時代の傾向があります。

・親が過干渉だった
・常に親の機嫌をうかがっていなければいけなかった
・自分で決めた経験が少なかった

親が過保護で何でも先回りしてやってしまったり、自分の意見や主張を受け入れられた経験が少ないため「自分はどうしたいのか」がわからなくなってしまうのです。進学や就職活動なども親の意見に従ってきたと語るケースも少なくありません。

◆共依存カップルの特徴

共依存関係は恋愛においてよく見受けられます。なぜなら、互いを唯一として愛することが美徳だとされているから。そのため無償の愛を信じることが苦手な共依存型の人は、相手に尽くすことで愛を獲得しようと泥沼にはまってしまうのです。

・パートナーが最優先

社会人でなくても、常にパートナーが最優先というわけにはいきませんよね。仕事や家族を優先すべき場合もあり、それをお互いが認めて折り合いをつけていくのが健全な関係です。しかし、共依存関係は常にパートナーが一番。大事な仕事があっても、家族に不幸があっても、それは変わらないことが多いのです。

恋人のために仕事や冠婚葬祭を投げ出すというのは極端な話ですが、仕事中でもパートナーに連絡をし続けていたり、友達との予定が入っていたのにデートだからとドタキャンしたりというのはよく聞く話なのではないでしょうか。これも充分に共依存予備軍です。

・相手がいないと落ち着かない

これはカップルに限らず、すべての共依存関係にあてはまる特徴です。何らかの原因で2人の関係性が崩れてくると、とたんに日常生活を送ることが困難になるのです。

不安に駆られたり、いらいらして落ち着かなくなる、不眠となるなど精神的な問題がまず発生します。そして女性の場合は、オーバードーズや摂食障害、男性の場合は大量飲酒や女性関係の乱れといった症状で表れることが多く、それが原因で仕事を休むなどやがてはプライベート以外にも悪影響を及ぼします。

・第三者の意見を聞かない

共依存関係はある意味「二人の世界」状態です。そのため自分たちの関係性を批判する第三者とは平気で関係を断ち切ってしまったり、自分たちの仲を裂こうとする者は全員敵だという心理になってしまいます。

また、共依存の典型であるDVなど当事者たちが辛い思いをしていても、認知のゆがみが発生しているため、他者のアドバイスや助けが耳に入らないことも。この場合は自分自身で関係のおかしさに気づく必要がありますが、それはなかなか難しいですよね。

◆カップル以外のケース

上記でご紹介した恋人同士以外にも、様々な人付き合いにおいて共依存関係は生じます。ですが、どの関係性にも共通しているのが、「面倒をみる人」と「面倒をみられる人」の関係になっているということ。この特徴がわかっていると、以下も「なるほど」と思えますよ‼

・親子関係

まず、お世話をする・されるという関係の最たるものは親子関係でしょう。共依存関係になりやすいのは、〈父と子〉ではなく、〈母親と子ども〉の関係が多いと言われています。

これは、一般的に母親が育児の主体であることを考えると納得ですよね。ちなみに、父親が母親と同じくらい育児を行ったり子どもと関わっている家庭では、共依存関係が起きにくくなるそうです。

子どもの幸せを願うというのは良いことですが、そのために過保護になってしまったり、育児に自分の存在価値を見出してしまうと危険信号。子どもの自立を妨げることになってしまいます。

・介護

仕事を辞め、親の介護に専念する……。これは素晴らしい親孝行の姿に思えますが、共依存の危険性が非常に高まってしまう状況だとも言えます。

介護における共依存は、例えばヘルパーさんが来てもどうも気持ちが親から離れられなかったり、デイサービスから帰ってきた親が「楽しかった!」と言っている様子を見ると正直寂しいような残念な気持ちになるなど、常に自分が親の一番の介護者でないと不安を感じてしまうようになります。

また、息抜きに友達と会っていても罪悪感が湧いてしまったりと相手の介護抜きに自分の生活が安定して成り立たなくなってしまい、介護疲れでつぶれてしまうこともあります。

・上司と部下

共依存とは恋人や親子関係にしか存在しないと思われがちですが、実はビジネスの場でも生じることがあるんです。「面倒を見る」「見られる」という関係が共依存になりやすいと思えば、ピンとくる人もいるかもしれません。そう、上司と部下の関係で共依存は起こるのです。

これは一見するとチームワークが良く良好な関係に見えますが、一方で双方の成長を妨げたり、悪影響を及ぼすケースも少なくありません。いくつか共依存の上司と部下の例を挙げてみましょう。

①過保護な上司とおんぶにだっこの部下

一つ目は、部下の言動に対して過干渉な上司といつまでも甘えが抜けきらない部下という関係です。

もちろん、上司の仕事として部下の育成は必要不可欠です。しかし、いつまでもつきっきりでは部下の自主性や主体性が育たなくなることも考えられます。

仕事の関係に限らず「手の掛かる子ほどかわいい」という言葉があるように、頼りない人というのは、世話を焼くことで自分の存在意義を確認したい人にとって好都合な存在です。過干渉なほどに接する上司は、教育熱心という長所もありますが、内心は自分が抱えている不安や自信のなさを打ち消そうとしているだけであり、かえって部下を一人前から遠ざけているのです。

②リーダーシップのある上司と優柔不断な部下

二つ目は、いわゆる体育会系気質でとにかく主張ははっきり、コミュニケーション能力の高い上司。そして優柔不断な性格から、上司に従っていたほうが楽だと感じている部下という関係です。

ぱっとみ理想的な関係にも見えます。リーダーシップがある非常に頼もしい上司は、職場全体でも見ても利益や業績に貢献することが多く高評価を得ることがあります。そのような有能な上司は「自分でやったほうが早い」となんでも自分で決めてしまいがちです。

他力本願な部下だった場合、決断を全て上司に丸投げするクセがついているため、自分が部下や後輩を持つ場面になったときにも決断を下すことができず困ってしまうことがあります。自分でやるべきことを決めるのが苦手な人は、何でも決めてくれたりカリスマ性のある人、立場が上の人に依存してしまいがちなのです。

◆脱却方法

共依存の特徴や原因が分析できたのなら、あとは脱却を目指すのみです。ですが、あくまでもここでご紹介しているのは、簡単な対処法です。「もしかして共依存体質かも?」くらいの人には役に立ちますが、共依存は自分ひとりで克服することはまず難しいものなので、ぜひ専門家のカウンセリングを受けてくださいね。

・環境を変える

共依存は、気持ちだけで克服することはまず無理だと思ってください。

まずは環境を変えることが重要です。例えば同棲しているカップルや夫婦の場合は、別居も選択肢にいれるほどに大きく環境を変えてください。ある程度大人になった親子の場合は、一人暮らしを始めてもいいでしょう。

もともと同棲をしていないカップルであれば「SNSでのやりとりは1日2回まで」「急用でなければ電話をしない」など、ルールを作ることも有効です。

・自分の時間を充実させる

克服のゴールとしては、相手に関わっていないと落ち着かない状態から、自立して一人の時間を楽しめるようになるのがベストです。しかし依存体質の人にとってこれは非常に難易度が高いので、まずは「相手がいない時間を恐れないこと」を目標にしましょう。

共依存の克服は客観的な自己分析からだと言われています。最初は、相手に依存しそうになったらカウンセラーに相談したり、友人に話し相手になってもらうなどして、自分の気持ちを整理していきましょう。それがある程度進んだら、遊びやヘアサロンなどの予定を入れるなど、徐々に「相手以外と過ごす時間」「自分のために使う時間」を増やしてください。焦らずに、年単位で克服に挑む覚悟でいきましょう。

・専門家に相談する

共依存は潜在意識の影響が強く、自分たちではなかなか根本的な解決にいたるのが難しい状況です。また、どちらか片方が協力的でなかったりする場合、ますます困難となっていきます。できるだけ専門家の力を借りてくださいね。

◆まとめ

共依存の危険性と特徴、脱却方法をご紹介してきましたが、いかがでしたか?

このページを検索していたという人は、ドキッとするような該当項目があったのではないでしょうか。

二人にとっては幸せな関係でも、度が過ぎると自分たちだけでなく周囲まで巻き込んで不幸にしてしまうこともあります。一度冷静になって、関係性を見つめ直してみてくださいね。

 

Photo:Getty Images
Text:K.S







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