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FASHION こじラグ谷中の知ってるつもり?

【和服でこじらせ!?】こじラグ谷中が 奄美大島で大島紬を清水ダイブ!《前編》

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洋服に続いては和服。興味を抱いた大島紬を求めて、奄美大島へ飛び、清水ダイブを敢行か!?

こじラグ谷中の知ってるつもり? 今回は奄美大島へ、大島紬について学びに行ってきました。

母親が和服好きだったもので小さい頃から和装には興味がありましたが、若いときは洋服のことでアタマがいっぱい。勢いに任せて買い続けた結果、こんな有様になっているのは、こじラグの連載をご覧頂ければ伝わると思いますが、ここまで買うと欲しいモノも少なくなってきて、そろそろ和装なのでは?と思うようになりました。

50過ぎてから和服を着始めるなんて方も多いとは思いますが、あえて40代から始めてみる。新年を和服で迎えたり、ちょっとしたパーティに和装で出向くなんて、粋ですよね。

というわけで、和装に飛び込もうと決断したものの、右も左も分からない。そんなときに強力な助っ人が現れてくれました。

東京・八王子にある荒井呉服店の若旦那、石毛立介くん! 現在 和装業界で働く彼は、昔からの友人なんですが、生粋のスケーターで、かつてはSTUSSY(ステューシー)や、SILAS(サイラス)、SUPREME(シュプリーム)などでスタッフを勤めていました。

SUPREMEのスタッフTy(左)とGio(右)。真ん中が石毛くんです。2006年ニューヨークのSUPREMEにて。

彼に着物についてアレコレと相談。僕は地元が栃木なので、結城紬の産地も近く、紬の着物に興味があると話したら、大島紬も凄い技術で興味深いし、奄美大島の歴史やカルチャーも面白いから観に行こうとなり、即決。カメラO坪ちゃんを引き連れ、奄美大島へと飛び立ちました!

羽田から2時間ちょっとのフライトで到着した奄美大島空港。レンタカーを借りて向かった先は、有村絹織物

まずは、工場長の西さんに奄美大島の織りについて色々と教えて頂きながら、実際の現場も拝見させて頂きました。

大島紬は2回織る着物。少し勉強していたものの、いまいち意味が理解できていなかったんですが、実際に見て気絶!

そもそも、布生地の色や模様には先染めと後染めがあって、大島紬は先染め。布を織る前に、糸の段階で染色するんですが、大島紬はその先染めをするために、まず織るんです……! しかも織り機で! 方眼紙のマス目ひとつひとつに、絣(かすり)となる模様を描くところから始まり、それから「締め機(しめばた)」と呼ばれる織り機で、染めない部分(模様となる部分)の絹糸を、防染するために綿糸(めんし)で縛って、絣糸(かすりいと)を作り出します。これが、他の紬にはない、手くくりでは作れない、大島紬ならではの細密な柄の元になります。

その織物を車輪梅(しゃりんばい)で草木染めしてから、泥田に入れるとタンニンが泥の鉄分と反応して黒く染まっていきます。ここまではまだ理解できるのですが……

大島紬の凄いところは、この織りをほどくんです。泥染された織物を一本一本の糸に戻すと、それぞれに柄が生まれているんですが、それを先ほどのマス目、ひと目ひと目に合わせて再度織っていく。

経糸も絹糸一本分、緯糸も絹糸一本分を、文字通り寸分違わず合わせて織り上げていく!

は??

意味が分からない……。緻密過ぎて、聞いただけで気が遠くなる作業です…。

洋服で細かい作業もたくさん見てきましたが、突出してます。とにかく複雑すぎて、脳がウニウニしていまいそうでした。

分業ではありますが、一反を織るのに約1年かかる。それだけ細かい作業をするわけですから、そりゃ時間もかかりますし、高額になる理由が納得できました。

そして、出来上がった反物は検査場に持っていくわけですが、万が一そこで合格を貰えなかった場合は商品として世に出すことができず、1年間の作業が水の泡

神経が磨り減りそうです……。

西さんのお話の後、実際に織り上がった反物を拝見させて頂いたんですが、とにかく軽い!

通常一反で700gくらいなんですが、大島紬は450g! 巻いたときにも他の反物よりも細く、出来上がった着物は他のものに比べて圧倒的に軽い!

その着心地の軽さから、大島紬を着始めると他の着物を着られなくなるそうです。

しかも、その織り方(平織り)から、大島紬には裏表がない! なので、買った本人が表を着て、子供に譲ったら裏で仕立て変え、さらに孫に譲ったら再度表で仕立て変える。100年着た頃に絹が馴染み、泥染の黒がいい感じに抜けてきて、素晴らしい表情を生み出すんだとか。

大島紬は、着られる形見。時計やアクセサリーなど身につけられる形見はありますが、着られるものとなると少なく、かつてのハリスツィードくらいかもしれないことを考えると、とにかく貴重です。

もう完全にハマりました。一着100万円だったとしても3代で着るとなれば、一人当たり30万円程度。形見として残せる文化遺産となれば、高くはない! 即清水ダイブとまでいきませんでしたが、舞台淵ぐらいまでは立ってしまった気がします。

夜は西さんもご一緒に地元 名瀬の名店「かずみ」へ。こちらの女将、西和美さんは島唄の唄者(うたしゃ)で、リヴィング レジェンド。

まず、奄美大島の島唄というのは、沖縄の島唄とは異なり、アイランドではなくエリア、郷里、帰属地を表す「しま」の唄。なので、北や南で歌詞などが異なるんだそう。

内容としては、集落ごとの生活に根ざしている労働の唄や、伝承を歌詞にしたもの、呪術の一種であるサカ唄などを口伝えによって伝えてきたものが多く、即興の唄遊びも行われており、これはフリースタイルっていうやつですね。

奄美大島の島唄や歴史についてのいろいろな話を聞きながら、最後はみんなで唄い、踊りながら美味しいご飯とお酒を楽しんで、短いようで長い1日目を終えました。

まだまだ続きます!

Movie&Photo:Naoto Otsubo
Edit:Ryutaro Yanaka

【問い合わせ】
荒井呉服店
042-625-5291
https://www.araigohukuten.co.jp/



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