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FASHION 昭和なアニキのアニ散歩

暖簾が、ちくわのTシャツだけの気絶酒場とは?

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第67回 ママの横顔でウィスキーがお好きでしょ気絶

出会いは後輩が連れて行ってくれた新橋の雑居ビルにひっそりと佇む暖簾も看板もない小料理屋風でカウンターのみの酒場だった。もう一度あのママに会いたい。

そんな想いを胸に、烏森神社参道を歩く。ビジネス街の中で、ここだけはノスタルジックな異空間だ。

今は横丁の赤提灯も俺の目には入らない。

久しぶりの再会ということで足元はエドワード グリーンのチェルシーでキメてみた。スーツの時はこいつを履くと背筋がピンと伸びる。

かすかな記憶を頼りに、たどり着いた雑居ビル。表に店の看板はない。確かこの階段の上なはず。

あったぞ! ちくわのTシャツだ!暖簾はなくこいつが無造作にぶら下がっているだけ。店名はそのままの「ちくわ」だ。

ガラガラと引き戸を開けてママのヒロミさんに軽く挨拶をする。俺のことを覚えていてくれたようだ。

店内はカウンターのみで、この日も常連で賑わっている。

ひとり飲みの俺はカウンターの端に座った。ここが落ち着くからだ。いや、ここからヒロミさんの横顔を見ていたいだけなのかもしれない。

この店にメニューはない。黒板に書かれた料理の他に、その日の気分でとびっきりの一品が出される。

酒も同様だ。余計なものは無くていい。それでいいのだ。

まずはルービーで俺が俺を取り戻すひととき。「ぷはっ!」と喉を潤す。

余計な会話はしない。自分のペースで飲んで話しかけられれば多少の会話を楽しむだけ。まずは煮たまごをいただくことに。

強烈にウマい。シンプルなのになんでこんなにウマいのだろうか? ヒロミさんの愛情なのか?

エプロン姿がグッとくる。まるでヒロミさんの家にいるようだ。おっと油断していた。すでにかすかな気絶が俺を襲う。

ヒロミさん手作りのポテトサラダ。普通なのに普通じゃないウマさ炸裂の定番メニューだ。

ウマすぎるだろ? マジでパネえ。酒場の丁寧な仕事っぷりは、ポテサラでわかるもの。これは間違いない。

この席が気に入っている理由がもうひとつある。目の前で料理しているエプロン姿を見ながら飲めることだ。ヒロミさんと少し言葉を交わすだけで心が癒される。

もう常連の話し声は俺には聞こえない。カウンター越しの笑顔だけでいい。

これが「ちくわ」のちくわだ。シンプルに炒めただけなのに信じられない強烈なウマさだ。もう魂を抱かれてるのかもしれないぜ! センキューシンバシベイベー!。

男なら誰でも大好物な唐揚げ。こりゃあたまらん。とその時・・・・。

「アニキ、ウィスキーがお好きでしょ?」とヒロミさん。

唐揚げでハイボール気絶! 俺には井川遥さんは必要ない。サクサクっとジューシーな唐揚げは丁寧に仕込みがされていて最&高な味わい。なんていうかもうつまりヒロミ気絶・・・・ちくわ昇天!

〆はメニューにないチゲ鍋にラーメントッピング。完全にマシッソヨ気絶! もう気絶の向こう側だけどケンチャナヨ!

ヒロミさんは2年前に「ちくわ」を1人で開店した。元OLで飲食経験がなかったとは思えないほど料理のクオリティが高い。店名の由来を聞いてみると、友人が適当につけたので意味がないと笑顔で答える。最初から暖簾無しではじめ、自分のペースを大事にしているとのこと。多くの知り合いに支えられ常連に愛されているのはヒロミさんの人柄だろう。俺はその横顔を遠くからそっと眺めているだけでいい。今宵もアニがとう、ヒロミさん。

エドワード グリーンのチェルシー。スーツスタイルで一足は持っていたい黒のストレートチップ。シンプルなだけに老舗ブランドの完成された一足を選びたいもの。エドワード グリーンは英国靴でありながらクラシックなイタリアスタイルを好む多くの方に愛用者が多い。様々なラストを履いて最終的にたどり着いた202ラストはこれからも一生履き続けるだろう。

 

 

Text : Eiji Katano
Photo : Shimpei Suzuki


今回のアニキおすすめの店

「ちくわ」
東京都港区新橋3-14-6 2F
Tel. お店の都合により非掲載
https://retty.me/area/PRE13/ARE2/SUB1601/100001318081/
営業時間  17:00~00:00  
  定休日 土日(不定休)

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