今夜からは快適な睡眠の毎日を
眠りたいのに、眠れない!……そんなもどかしい夜に、誰しも一度は悩まされたことがあるのではないでしょうか。今回は、眠れないアナタのために、その原因と解決策をお教えします。
目次
1.”眠れない”は一種の病気?
2.眠れない原因
3.睡眠不足がもたらす影響
①脳への影響
②体への影響
4.ぐっすり眠るための対策
①睡眠に効果的な夕食をとる
②ぬるめのお風呂に入る
③自分に最適な寝具を揃える
④「4-7-8呼吸法」を実践する
5.それでも眠れない!という人は
1.”眠れない”は一種の病気?
緊張や興奮で胸がいっぱいになり、睡眠不足になってしまうことは度々ありますよね。しかし、特別な事情があるわけでもない日常に「眠れない」事態が発生してしまうと、日々の生活に支障をきたす恐れがあります。そのような状態は、「不眠症」とよばれる一つの病気なんです。
不眠症とは、入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害などの睡眠問題が1ヶ月以上続き、日中に倦怠感・意欲低下・集中力低下・食欲低下などの不調が出現する病気です。……「1.長期間にわたり夜間の不眠が続き」「2.日中に精神や身体の不調を自覚して生活の質が低下する」、このふたつが認められたとき不眠症と診断されます。
(出典:不眠症 | e-ヘルスネット 情報提供 - 厚生労働省)
不眠症には、4つのタイプがあります。
①入眠障害……布団に入ってから眠りにつくまで、30分~1時間以上かかってしまう。
②中途覚醒……睡眠中に何度も目が覚めてしまう。また、一度目覚めてしまうと再び眠るのが難しい。
③早朝覚醒……予定の起床時刻より2時間以上前に目が覚めてしまう。その後、再び眠るのが難しい。
④熟眠障害……十分な睡眠時間をとっているはずだが、眠気が残っており、ぐっすり寝た感じがしない。
厚生労働省によれば、日本人の5人に1人が「睡眠で休養が取れていない」あるいは「何らかの不眠がある」と回答しているそう。”眠れない”という悩みをもつのは、アナタだけではないんです。
2.眠れない原因
不眠症の原因は人によってさまざまですが、主として考えられるのは、以下に挙げた”5つのP”とよばれるものです。
①Physical:身体的原因……腰の痛みといった、からだの不調。
②Philological:生理的原因……不規則な生活リズム、身体に合わない布団やまぶしすぎる照明などの睡眠環境。
③Psychological:心理学的原因……不安や緊張といったストレス。
④Psychiatrica:精神医学的原因……うつ病など、こころの病気。
⑤Pharmacological:薬理学的原因……服用している薬の成分による影響。
生活リズムの乱れや仕事のストレスなど、不眠症になるリスクは誰もが抱えているものです。
3.睡眠不足がもたらす影響
①脳への影響
睡眠の大きな役割は、脳を休ませること。そのため、眠れずに朝を迎えてしまうと、脳は休息をとれないまま新たな仕事を始めなければなりません。睡眠不足の状態で出社した日、なんだか頭がボーっとしてしまった。そんな経験はありませんか? それは、たんに眠いからというだけではなく、脳がきちんと休まっていないからなんです。
②体への影響
睡眠不足は、ホルモンバランスを崩し、生活習慣病などの病気にかかるリスクを増やしてしまいます。以下の情報は、独立行政法人 国立精神・神経医療研究センターが厚生労働省に提供したものです。いかに睡眠不足が体に悪影響をもたらすのかがわかりますね。
一例を挙げれば、健康な人でも一日10時間たっぷりと眠った日に比較して、寝不足(4時間睡眠)をたった二日間続けただけで食欲を抑えるホルモンであるレプチン分泌は減少し、逆に食欲を高めるホルモンであるグレリン分泌が亢進するため、食欲が増大することが分かっています。……入眠困難や中途覚醒・早朝覚醒など不眠症状のある人では良眠している人に比較して糖尿病になるリスクが1.5~2倍になることが知られています。
(出典:睡眠と生活習慣病との深い関係 | e-ヘルスネット 情報提供)
4.ぐっすり眠るための対策
それでは、眠れないアナタのために、ぐっすり眠るための解決策をご紹介します。
①睡眠に効果的な夕食をとる
眠りを良くするホルモン、メラトニンやセロトニンを分泌させるためには、その原料となるトリプトファンを摂取する必要があります。そこで、夕食にはトリプトファンを多く含む食材をチョイスしてみましょう。乳製品や大豆、肉類、魚類、卵などがその例です。ホットミルクが睡眠に良いといわれるのには、科学的根拠があったんですね。
また、手足の血流量を増やし、体温の上げ下げをサポートするエビやイカなども効果的な食材です。良い睡眠をとるためには、健康的な食事が欠かせないんです。
②ぬるめのお風呂に入る
38~40度のぬるめのお湯に10~15分つかることで、副交感神経が刺激され、体が程よく温まります。時間がないときや暑い夏でも、ここはゆっくり時間をとってみてください。なお、入浴のタイミングは、布団に入る2時間ほど前がベスト。湯冷めしないようにしっかり着込んで過ごせば、自然と眠気が訪れてくるでしょう。
入浴時におすすめのバスソルトなどは、ぜひこちらの記事を参考にしてみてください。
→夏バテ&冷房疲れをリフレッシュする、お風呂グッズ!
③自分に最適な寝具を揃える
旅行先ではいつものように眠ることができない、という悩みを抱える人も多いのでは? それは、普段と違う睡眠環境におかれていることが一つの原因です。しかし、普段から眠れないというアナタは、もしかすると使っている寝具が体に合っていない可能性があります。
まずは、枕選び。後頭部から首にかけてのすき間を埋め、立っているときと同じくらいの姿勢に保ってくれる枕が最適な高さです。安定感があり、呼吸のしやすいものを選びましょう。
次に、ベッドマットや敷き布団。柔らかすぎると、腰痛の原因になってしまうこともあります。適度に硬いものをチョイスし、掛け布団もそれに合ったものを選びましょう。
④「4-7-8呼吸法」を実践する
いやいや、もう寝床にいます! 横になりながらスマホをいじっています! 今すぐに寝たいんです。……なんていうアナタには、「4-7-8呼吸法」とよばれる呼吸法をご紹介。
この呼吸法は、アメリカの健康指導者、アリゾナ州立大学アンドルー・ワイル博士によって提唱されました。やり方は以下の通りです。
1.口を閉じ鼻から息を吸いながら4つ数える
2.息を止めて7つ数える
3.8つ数える間に口から息を吐く
実は、筆者も眠れない夜にこの呼吸法を試したことがあります。たしかに、リラックス効果はバツグン。すぐに寝つくとまではいきませんでしたが、徐々に心が落ち着き、いつの間にか朝になっていたのを覚えています。焦らず、ゆっくりと呼吸するのがポイントですよ。
ところで、寝る直前にスマホをいじるのは避けたい行動。スマートフォンの画面が発するブルーライトは、睡眠を促すホルモン、メラトニンを分泌させにくくするといわれています。ぐっすり眠りたい夜、布団に入る2時間前にはスマホチェックをやめるのが理想です。
5.それでも眠れない!という人は
食事や睡眠環境の改善など、自分にできることは尽くしたけれど、やっぱり眠れない。「眠らなきゃ」という不安が、ますます眠りを妨げる。そんなときは、ためらわずに精神科や心療内科などの専門家に相談しましょう。快適な睡眠の毎日は、アナタの人生をゆとりあるものにしてくれますよ。
Photo : Getty Images
Text : Nagi