色使いを駆使して旬のトレンドを楽しむ、大人のコーディネイト術
最近、どうも気になっているのが90年代後半のカルチャー。影響を受けたものが多かったのもありますが、あの時代のミニマルルックが自分のなかで再来しているのです。今回は、それをどう“エロサバ”に料理するか、その干場流テクニックを披露します。
アイテム
ポロシャツ/ジョンスメドレー
パンツ/ニール バレット
サングラス/レイバン
時計/セイコー
ブレスレット/SYMPATHY OF SOUL×Yoshimasa Hoshiba
バッグ/エルメス
靴/WH
(すべて干場私物)
今度は半袖かよ……。毎度のことですみません。仕事に忙殺されていたら、いつの間にか夏が終わり、秋がやってきて、冬の足音が聞こえてきた今日この頃。でも、『FORZA』世代の方々だと、きっと海外への出張も多いでしょうし、南の島にバカンスに出かけることもあるでしょう。そんなときに、今回のコーディネイトを思い出していただければ幸いです。
最近、ファッションでは90年代のスタイルがずっと気になっていて、当時の自分をふと思い出したりしているんですよ。あのころはまだ20代の駆け出しだったんですけど、『エスクァイア日本版』の編集者になって、ミラノやパリのコレクションやスイスの時計見本市など、多くの海外取材の機会をいただき、いろんなことを吸収して成長することができました。だから、自分にとって原点ともいえる時代なんです。
90年代はメンズモードが超盛り上がっていた時期で、プラダやルイ・ヴィトンがメンズに参入したり、その一方でトム・フォード率いるグッチがセクシー路線を打ち出して突っ走っていたりと、話題には事欠かかない状況でした。そんななか、僕が好きだったのがプラダのコーディネイトでした。あのミニマルルックは、ちょっと衝撃でしたね。
僕がよくしていたのは、黒やネイビー、ベージュなど、色はあまり使わないストイックなカラーリングのスタイル。Tシャツやポロシャツにテクノストレッチのテーパードしたスリムパンツを合わせて、足もとはボリュームのあるエッグトウとかスクエアトウの靴を合わせていました。そのときよく履いていたのが、今はなきシルヴァノマッツァやグラネロというブランドだったんです。ちなみに、僕が坪内さんとWHという靴ブランドを始めたのは、そんな雰囲気の靴が今、探してもなかなかなかったのも理由のひとつ。それぐらい愛着のあるスタイルなんです。
その後、僕も『LEON』編集部でクラシコイタリアのスーツに目覚め、カジュアルではドルチェ&ガッバーナのようないわゆる“盛る”方向のスタイリングをするようになり、『OCEANS』に移籍してからはトラッドへ揺り戻しがあったものの、基本的に“盛る”スタイルは好きじゃないというのを気が付きまして……。
いろんなスタイルを経験して、一巡してたどり着いたのが90年代のスタイルを2017年版にアップデートしてみようという試み。そういえば、当時のプラダのメンズをデザインしていたのはニール・バレットだったと思い出して、ニールのテクノストレッチのスリムパンツを買い求め、ポロシャツはコンパクトなジョンスメドレーの真っ黒ポロ。で、足もとはWH。こう考えると、本当に昔と何にも変わってない(苦笑)。たどり着いたのがココだったとは!
でも、2017年度版の“エロサバ”に更新するには、とっておきのテクニックがあるのです。それは真っ黒スタイルにゴールドを効かせること。バングルやバッグの金具など、ほんのちょっとでいいんです。過ぎたるは猶及ばざる如し、ですから。あとは日焼け。イメージは、イタリア人のセクシーな感じですよね。どこかイヤらしいんだけど、なんだか気になる。女性をそんな気持ちにさせたら、大成功ですよ。
では今回は、このへんで!
今回のスタイルのキモは……。
● カラーリングの基本は、ストイックに見える全身ブラック。
● アクセサリーでゴールドをちょっとだけ効かせる。
● ポロシャツはタイトフィットを選ぶ。
● スリムパンツはテーパードタイプをくるぶし丈で。
● 靴はボリュームのあるプレーントウを素足履き。
Photo: Ikuo Kubota(OWL)
Styling&Model:Yoshimasa Hoshiba
3冊目の書籍が発売になりました。今回は、難しいとされる大人のカジュアルスタイルについて書いています。読んでない方はぜひ!
干場義雅が教える
「究極の私服」
(日本文芸社)
2冊目の書籍は、色気についてです。 普通に見えて、なぜか人を惹きつける男の共通点について書いています。読んでない方はぜひ!
一流に学ぶ
「色気と着こなし」
(宝島社)
1冊目は、スーツの着こなし術から世界の一流品選びまで、基本的なことやお洒落の本質について書いています。読んでない方はぜひ!
世界のエリートなら誰でも知っている
「お洒落の本質」
(PHP出版)
エロサバ-Hoshipedia
「エロサバ」とは、エロいコンサバの略で、干場の哲学により生まれた造語。シンプルでベーシック、コンサバティブな洋服を着ているのに、なぜかエロく見えるスタイルのこと。例えば喪服の女性。成熟した大人の女性が喪服を着ていて、メイクもナチュラルで抑制しているのに、不思議と色っぽく見えるスタイル。例えば、普通の白いシャツを着ているのにも関わらず、胸元のボタンの開け方や袖口のまくり方でSEXYに見えるスタイル。粗悪な素材でデザインが変わっているシャツでは駄目。上質な素材でベーシックなシャツだからこそ、崩して着こなしても上品さが保てるのです。男性で例えるなら、仕立てられたグレーの無地のスーツを着て、上質な白シャツに黒の無地のネクタイのような極めてコンサバティブなスタイルをしているのに、内側から大人の色気が香るスタイルのこと。
『FORZA STYLE』編集長
干場義雅
尊敬する人は、ロロ・ピアーナの元会長セルジオ・ロロ・ピアーナさん、ピエール・ルイジ・ロロ・ピアーナさん、トッズの会長ディエゴ・デッラ・ヴァッレさん、格闘家のブルース・リーさん、初代タイガーマスクの佐山サトルさん。 スポーティでエレガントなイタリアンスタイルを愛し、趣味はクルーズ(船旅)と日焼けとカラオケ。お酒をある一定以上飲み過ぎると、なぜだか一人感無量状態になって男泣きする現在44歳の小誌編集長。東京生まれ。