「男と女」とフェラーリの作法
最新SFXやアクション映画など、この手のジャンルは迫力あるシネコンの大スクリーンで見る機会が多いかと思いますが、ときには大人の恋愛映画はいかがでしょうか。
今回ご紹介するのは製作50周年を記念してデジタル・リマスター版として公開されるフランス映画「男と女」(1966年。原題:Un homme et une femme)です。
今でこそ巨匠として語られるクロード・ルルーシュ監督(1937年~)ですが、この「男と女」で第19回カンヌ国際映画祭パルムドールを獲得するまでほぼ無名。いわゆる出世作に当たります。
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この他の氏の作品では、「パリのめぐり逢い」、「白い恋人たち」、「愛と哀しみのボレロ」あたりは誰もが知るところではないでしょうか。また、盟友フランシス・レイのサウンドトラックも叙情的にシーンを印象づけます。
映画史に残る世界的名作ですので、あえてストーリーには触れませんが、自動車好きとして注目したいのは映画のなかに登場するクルマたちです。
というのも、クロード・ルルーシュ監督は大のカーマニア。主人公の一人である男性の職業をレーシングドライバーに設定。劇中にはフォードGT(マーク1)やマスタングが登場します。映画が公開された1966年といえばフォードが初めてル・マン24時間レースを制覇した年。
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さらに注目なのは同時上映される短編映画「ランデヴー」(1976年。原題:Rendez Vous)です(こちらもデジタル・リマスター版)。
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夜明けのパリを疾走するワンテイクの作品ですが、クルマの鼻先に備えつけられたカメラ映像(いわゆるオンボードカメラ)で全編を構成。今では様々にその製作秘話が語られるところですが、少なくとも臨場感ある音源はフェラーリ275GTBそのものです。
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感心させられるのはクロード・ルルーシュ監督が単なるフェラーリLoveなカーマニアではないところ。全てを物語りとして表現する手法はテクニックというより、むしろ性なのかもしれません。
町並みもファッションも1960年代を味わい尽くせる「男と女」。官能的なクラシック・フェラーリが放つV12のエキゾーストサウンドが全編に響く「ランデヴー」。この秋は是非とも劇場にお出かけください。
Text:Seiichi Norishige
■タイトル:製作50周年記念デジタル・リマスター版「男と女」(©1966 Les Films 13 )/『ランデヴー』デジタル・リマスター版(©1976 Les Films 13)
■公開:10月15日より、YEBISU GARDEN CINEMA他全国ロードショー
■配給:ドマ、ハピネット
■公式サイト:otokotoonna2016.com