アホ面下げて闖入!東京モーターショーで
感じた日産とメキシコの魅力
親愛なる読者の皆様、ご機嫌いかがでしょうか。新米プロデューサーの栗原Pです。
諸兄におかれましてはFORZA片手に、ファッションの秋を思う存分満喫されていることとお慶び申し上げます。
これは今巷間を賑わせているパワーハラスメントの典型的な事例でしょうが、10月に写真週刊誌「フライデー」から異動してきたばかりの私を捕まえて、毎日S部長が「30万円以下のスーツは着るな!」「とりあえず英國屋で一着仕立てろ」と、あまりにあまりな無理難題を押しつけてきます。家に帰れば乳飲み子が泣いているというのに……。「ファッション誌のプロデューサーは、自分に投資してナンボ」とのことですが、今年の冬は餅代にも困ることになりそうです。
10月29日、そんな「自分への投資」という詭弁を弄して買ったいま一番お気に入りの「PRINGLE 1815」のアウターを着て、「東京モーターショー2015」(東京ビッグサイト)のプレスデーに行って参りました。ちなみに私の愛車遍歴は三菱ディアマンテ⇒ランクル80⇒プジョー3008(イマココ)。一貫性のないクルマ選びに、隠せない軽薄さが滲みます。
私が注目したのが、「やっちゃえ日産」のコピーが効いているNISSANのブース。フライデー在籍時代、あの「ミスターGT‐R」、水野和敏氏にインタビューした経験から、特にNISSANには思い入れが強いのです。
今回モーターショーでNISSANが全面に押し出したのが、「ID(Intelligente Driving)」という概念。前回コラムで貧相な英語力を露呈した私に説明されても説得力はありませんが、平たくいうと(?)人工知能で走るクルマのことであります。

人工知能があらゆる状況を判断し、自動運転するという、まさに夢のようなクルマです。将来的にはドライバーが鼻ちょうちんを下げて眠ったままでも、運転地に着くことが理論上、可能になります(かなりの超訳ですが)。
また、ドライバーの走行の癖を学習して、好みに合わせた車間距離で走行したり、車両外部のLEDシグナルで歩行者に「おさきにどうぞ」と意思伝達をしたりと、ソフトバンクのペッパー君もビックリの、まさに走るロボット。現実化が待ち遠しくてなりません。
そんな華やかなNISSANのブースの真ん前で異彩を放っていたのが、こちらのメキシコのブースです。ババン!

いちクルマメーカーではなく、まさかの「国」としての出展に、ド肝を抜かれました。そして「かったるいわ~」とでも言いたげなメヒコ女性に、深まる秋を感じます。
何かと話題のVWのブースは、ダーティーなイメージを漂白するような明るさで、コンパニオンも美女揃い。欧米ジャーナリストが数多く訪れ、世界的な関心の高さをうかがわせていました。

そういえば、古巣で書いた最後の記事はVWの不正に関する記事だったなあ……そんな感慨にふけっていると、「クリハラさん」と背後から呼ぶ声が。
振り向いてみると、そこにはどうひいき目に見てもプレスには見えない、「秋葉原の住人」の姿がありました。脂の浮いた瓶底メガネの奥で、小さな目がギラギラと光っています。
フライデー時代、お世話になりたくもなかったのにお世話になっていたカメコ(カメラ小僧)のAさんです。
Aさん「クリさん、最近全然ネタ振ってくれないじゃん。今日はどんなのほしいの? 女子アナ? アイドル? コンパニオン? それとも…」
栗原P「ちょっ、ちょっとこちらへ……。Aさん、実は私は10月から講談社のオシャレマガジンに異動したんです。もう女子アナやアイドルのハプニングとは一万光年もかけ離れた銀河に、私はいるんです。こう言っては何ですが、今後一切公の場では話しかけないでいただきたい」
私はそう言うと、オールデンのブーツの踵を翻して、会場を後にしました。こんな形でのお別れは、あまりに寂しすぎます。
しかし、TPOをわきまえない、Aさんのような人間と一緒にいたら、「FORZA」の信頼に関わる。心を鬼にして悪しき人脈を絶つのは、プロデューサーの務めです。罪悪感に押しつぶされそうになって、一度だけ振り返ると、何事もなかったかのようにコンパニオンにフラッシュを浴びせるAさんの背中がありました。
やっちゃえ、Aさん。
Text:栗原P
【問い合わせ】
東京モーターショー2015
http://www.tokyo-motorshow.com/
東京モーターショー2015 日産自動車公式サイト
http://www.nissan.co.jp/MS/TOKYO2015/