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第11回目の先生 新川 智慈子さん 前編

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女性を口説ける!?
今、注目の日本酒の飲み方「人肌燗」とは?

『FORZA STYLE』の唱えるイケフォー(イケてる40男)になりたい34歳の編集部員サトシーノ。美女はやっぱりイイ男を知っている! との噂を聞き......。「女の本音」を聞き出して学ぶコーナーです! さてさて、サトシーノ、どんなダメ出しを喰らうのか!? 今回のゲストは、2012年に「酒サムライ」の叙任を受け、世界にSAKE文化を伝えるきき酒師としてNYを拠点に活躍中の新川 智慈子(にいかわちずこ)さんです。世界で注目の日本酒の魅力と、タイプ別の女性にオススメしたいお酒について聞いてきました!

サトシーノ:新川さん、今日はお会いできて光栄です! 最近、日本酒も少しですけど、飲めるようになったので色々と深いお話聞かせてくださいね! まずは新川さんが日本酒のきき酒師になった理由って、そもそも何がきっかけなんですか?

新川さん:ずっと東京でね、サトシーノみたいにファッション業界にいたんだけど、父が他界したときに地元の秋田に帰ったのね。そこで、落ち込んで気力が無くなってしまって。また東京でファッション業界に戻ろうかどうしようか……。そんな風に煮詰まっていた時に、久しぶりに過ごした故郷の素晴らしさを再確認したの。そこで見つけたのが、秋田と言えば米と水、じゃあ日本酒じゃん! って単純に思ったの。

サトシーノ:へ〜! 僕の地元は、地図に載らないような瀬戸内海の小さな島なんですけど、確かに東京で食べる魚よりも断然地元の魚が美味かったり、空気や海が綺麗で本当に誇れる場所なんです! だけど......、きき酒師ってどこでなろうって思ったんですか?

新川さん:元々日本酒は好きだったんだけど、じゃあ本格的に勉強しよう! って思ったの。で、きっかけは地元の幼馴染みに連れて行ってもらった温泉の休憩所で、何気なく開いたフリーペーパー。とある酒造メーカーの海外営業担当の女性の方の記事を目にしたの。白いシャツに紺の前掛けを腰に巻いて髪をキュっと後ろに結ってる姿が凛として格好良かったの! その人がきき酒師って大きく紹介されているのを見て、カッコイイ! って思った。海外で秋田の良さ、日本の良さを伝えるツールとしてきき酒師って面白いかもって始めたのがきっかけなの。(当時、秋田清酒に勤務していた伊藤明子さん。今は独立されてパリと日本を行き来して日本酒を紹介しているのよ〜)これからの人生どうしようかと考えて、ニューヨークに友達がいたので、人生のブレイクがてら行ったの。何年かに一度はニューヨークに行っていて、パワースポット的な場所だから。そこで日本酒をお土産にしようと思ったの。

サトシーノ:なるほど〜。それは偶然とは思えませんね......。きっと天命を受けたんですよ! きき酒師って全国で何人くらいいるんですか?

新川さん:ペーパーきき酒師みたいな人を含めば、何万人っているんじゃない? ソムリエもそうだけど、受かってるけど、実際には活用してない人も沢山いるから。日本酒好きが高じて趣味の延長とか。最近ではレストラン関係者は多く取得してる人が増えてきたみたい。あと、CAさんとかもワインソムリエ資格と一緒にきき酒師を持ってる人が多いみたい。

サトシーノ:ペーパードライバーみたいな方ってこと!?

新川さん:まあ、そうね(笑)。まさか、これが仕事になるとは思ってもみなかったけど(笑)。

サトシーノ:新川さんはあと、酒サムライって称号もお持ちじゃないですか? あれはニックネーム!? どういうものなんですか?

新川さん:酒サムライっていうのは、ニックネームじゃないですよ(笑)。日本酒造青年協議会っていう全国の若手蔵元さんによって設立された組織があって日本国内外で顕著に日本酒普及に貢献した人が年に6〜7名選ばれているの。今まだ世界に60名くらいしかいないんだけど。私は2012年に選ばれて、京都の下鴨神社でとても神聖な叙任式が行われるの。記者会見まであってね。日本酒業界にいる人達にとって、これに選ばれることっていうのは、大変名誉なことなのです!

サトシーノ:へ〜!! そんなに凄い称号なんですね! 酒サムライに選ばれてる有名な方っていらっしやいますか?

新川さん:例えば、去年ミニマル音楽界のカリスマと言われるリッチー・ホゥティンも実は凄い日本酒通で、その影響力が認められて選ばれた一人なの。クラブイベントとかで彼の独自のお酒を有名な蔵元さんとコラボしたENTER.Sakeという超入手困難な日本酒も紹介してたりするのよ。あと、私が選ばれた2012年には、辰巳琢郎さんや大鶴義丹さんも同期の酒サムライに選ばれているのよ。辰巳琢郎さんは、ワイン通で知られてる美食家で、地方にTVロケでいくと高級ワインを振る舞ってもらえるそうなんだけど、「本当はその場所の地酒を飲みたいんです」と、記者会見で話してたわ(笑)。

サトシーノ:まじっすか〜!! 凄い面々が酒サムライに選ばれているんですね〜! 仕事としてどういう舞台でご活躍されているんですか?

新川さん:一番最初に訪れたのは、私が数年に一度訪れるパワースポットのニューヨーク。まずそこで、酒ソムリエっていう仕事をレストランでさせてもらったの。そのきっかけが、語学学校に入って最初の友達がそのレストランで働いているスタッフで、たまたま秋田から持ってきた地酒を飲んでもらったの。そうしたら、なんでこんな美味しいお酒知ってるの? ってことになって、きき酒師の資格持ってるんだってことから、うちで働かない? って誘われたの。冗談みたいに導かれて、その仕事に就いたのよ。

サトシーノ:へ〜! それまた偶然とは思えないほど、導かれるようにその店に入ったんですね! どんなお店だったんですか?

新川さん:酒蔵っていう名前のお店だったんだけど。1回もレストランで働いたことも、酒業界で働いたこともなくてしかもまだ英語もままならないし......。私もまだレストランってとこを舐めてる所が当時あって、居酒屋でしょって感じでいったら、本当は経験者しか雇わないけれど、君はきき酒師資格を持っているから、特別一週間だけテストしますって言われて......。あれ? 実はむっちゃハードル高い......?  って思った(笑)。なんとそこは世界でも類を見ないほど300種類近くもの日本酒を取り扱ってたの。しかもリストがあるだけじゃなくて、By the glass、つまりグラス一杯からオーダーできるのね。その管理と販売力があるお店ってまず、世界でも見ない。いきなり入った所が、そんな凄いお店だったのよ。

サトシーノ:へ〜! そんな凄いお店にいきなり入ったんですね〜。300種類あるって、海外で日本酒ってそんなにブームなんですか?

新川さん:そうね、10年前に行った時にすでにNYでは300種類もの日本酒を扱うほど人気があったから、今はどんどん日本酒を取り扱うお店も増えてるし、ブームを超えて、もっと浸透してるのよ。特に都市部では。

サトシーノ:でも日本酒といえば、日本料理ってイメージなんですけど......。海外の料理ってどんなものが合うんですか?

新川さん:日本酒ってお米からできてるから、基本、ご飯に合う料理なら何でも合うのよね。それこそ、ハンバーグにご飯って感覚で、バーベキューに日本酒とか、プロシュートとかサーモンとか、チーズなんかもバッチリと合うし!

サトシーノ:へ〜! あとよくグラスを変えると味わいって変わるってきくんですけど、あれは本当なんですか?

新川さん:勿論、変わります。例えば、吟醸香といって、お花やフルーツを思わせる華やかな香りを楽しむ吟醸酒や大吟醸酒なら、ワイングラスは特におススメ。アロマを感じて優雅な気持ちで飲んで頂く。おちょこももちろんいいけど、香りをより楽しむならワイングラスを是非試してみて。

サトシーノ:ワイングラス!? まじっすか!

新川さん:海外でおちょこを持ってる人なんてそうそういないけど、ワイングラスなら2,3個持ってるって方のほうが圧倒的に多いじゃない? 日本酒っていうのはワイングラスで飲んでも全然大丈夫なの。さらにハードルを下げるのがおつまみ。ワイングラスで飲んで良いんだなってことになると、別に料理がお寿司や天ぷらじゃなくても、プロシュートとかチーズとかミックスナッツで良い。あと、ロックグラスとかであればコクのあるジューシーな生酒や原酒系のフルボディのお酒なんかをオンザロックで飲むのもカッコいいよ!

サトシーノ:洋酒と同じ感覚ですね! 日本人が決めつけちゃってハードル高くしてるところがあるんですね。

新川さん:メキシコの移民が多いアメリカだとタコスが国民食みたいなものだから、タコス頬張りながらオンザロックの生酒にライムをキュッと絞って飲むと凄く美味しかったりするよ! タコスによく乗ってるクリーミーなアボカドのワカモレやハラペーニョなどのスパイシーなソースにも最高。グッとくるでしょ?

サトシーノ:40代のフォルツァ世代にはバッチリな新しい日本酒の楽しみ方っすね! 日本酒好きな方多いんですけど、今特に紹介したいオススメなお酒の楽しみ方ってありますか?

新川さん:それなら、断然「燗」ね。日本酒って、世界のアルコールにない日本が対抗できる唯一といっていい温度で楽しめるお酒なの。温度帯も色々あってね。みんなよく「熱燗」っていうけど、熱燗って言うと、50度くらいの結構熱めのこと。「燗」って温度によって様々な言い方があるの。例えば、雪のように冷えたお酒だと「雪冷え」、お花がちょっと咲くくらいの温度だったら「花冷え」とか、あとは今日みたいに天気が良くて、丁度お日様に当たったくらいの温度だと、「日向燗(ひなたかん)」とか。あと、「人肌燗(ひとはだかん)」っていうのがあるの(笑)。ちょっと艶っぽい表現だよね。ちょっと人肌燗できてるか確かめたいから、おでこ貸してみたいな(笑)、そんな感じで女子との距離もぐっと近づかせるとか? 「人肌燗」の温度を基準にしておけば、「あ、人肌より少し温めだね」とか言い回しにちょっと大人の色気が出るじゃない(笑)

サトシーノ:やばいっすね〜!「人肌燗」ブームになりそう〜! 実際に人肌燗って飲みやすいんですか?

新川さん:そうね、お酒によっては温度を上げ過ぎちゃうと美味しい所を壊しちゃうところもあるんだけど、お酒の良さを引き出す温度帯としては、ぬる燗、人肌燗は最高なの! おうちでトライしてみるのも難しく考え過ぎないでね。熱めのお湯を入れたお鍋やボウルに、お酒を入れた徳利をお風呂に漬ける感じで。徳利に温度計を入れて人肌温度(37℃前後)を測れば簡単にできるから。「徳利なんてお家にないよ〜」という人なら、マグでも湯のみでも、それにお酒を入れて、お湯のお鍋やボウルに落とすだけでもいいのよ。彼女とかと一緒に温度とか見ながら作るのもいいじゃない? 人肌燗作りは、新しい口説き方になるかもね〜! って、やり過ぎると下心が見えすぎるのでほどほどに!(笑)

サトシーノ:確かに〜!(笑)。お店に行っても、「人肌燗」って言えばオーダーが通じるんですか?

新川さん:勿論よ! このお酒、人肌かぬる燗で、なんて言えたらオツじゃない?

サトシーノ:オシャレ過ぎる〜!! 女性が何それ〜!? って惹きつけられそうですね。日本酒って季節によって楽しむ温度とかってあるんですか?

新川さん:夏でも、熱いコーヒーを呑んだり、辛いカレーを食べたりするのと同じで、実は温かいものを夏に飲むとクールダウンするってこともあって、そういった意味では夏だから燗はなしってことではなくて、好みかな。それよりも、どういったお酒が燗に向いてるかってことを知っておく方が重要かな。

サトシーノ:なるほど〜。じゃあ、どういったのが燗に向いてるお酒なんですか!?

今回はここまで! 後半は、女性と楽しむオススメの日本酒の銘柄を教えて頂きます!

Photo,Text:Satoshi Nakamoto

新川 智慈子 Chizuko Niikawa
大学卒業後、アパレル業界で10年、デザイナーとして活躍。その後、きき酒師の資格をとりニューヨークへ移住。世界酒ソムリエコンクールイーストコースト大会(SSI主催)にて3位入賞。2008年、Sake Discoveries,LLCを設立して独立。2012年、日本酒造青年協議会より「酒サムライ」叙任。



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