フォルツァ世代のお手本コーディネートがここに!
先月のティファニーウォッチ新作発表会に続き、今回の『ティファニーウォッチ アーカイヴ展』のために来日したティファニーウォッチ社長のニコラ・アンドレア氏。前回のインタビューで、そのエレガントで格好良い姿に感動した小誌編集長の干場が、今回はファッションやスタイルについてインタビュー。干場と同じ42歳というフォルツァ世代のド真ん中にいるニコラ氏のファッション哲学に迫ってみました。
干場「前回来日したときのスタイルもそうでしたが、今日も本当に素敵ですね。お父様がイタリア人、お母様がスイス人でしたよね。やはりイタリア的な装い方が身に着いているのでしょうか。今日の装いについて教えていただけますか?」
ニコラ「グレーのスーツは本当に好きで数多く持っているのですが……、クラシックスタイルの頂点だと考えています。またエレガンスのトップでもあると思っているので、インタビューやカクテルパーティなどにもピッタリなんです。時間がない今日のような日にも便利で使えます。女性に比べると男性の方が、装いを考えるのは簡単かもしれませんね。でも細かいところに気を使うことで自分らしさを表現することができると思っているんです」
干場「確かにそうですね。僕も、常に細かい部分にこそ自分らしさが出ると思っています。ちなみに今日、お召しになっているスーツはどちらのものですか?」
ニコラ「スーツは、すべてオーダーメードです。イタリアに近いところに住んでいるので質の良いテーラーがあるんです。前回、来日した時はウール素材だったので冬向けの色調でしたが、今回は初夏なので軽い素材にして色調を少し明るくしました。エレガントに見せるということで大切なのがポケットチーフ。これが私のクラウン、王冠です(笑)。私の場合ここで自分らしさを表現しているんです。4ピークス。これは私独自の考えですが、3ピークスやTVフォールド、またはカジュアルなクラッシュドパフなど、いろいろな入れ方がありますが、4ピークスが私のスタイル。いつも胸元に王冠を輝かせるつもりでいます(笑)。イタリアでは紳士へのギフトにハンカチーフはNGとされているんです。これは自分で買わなければいけないもの。スーツは仕立ててもらい、シャツはスタッフに見立ててもらったりはしていますが、ポケットチーフだけは別で誰にも触らせないんです。ポケットチーフで自分を表現する……。これがイタリアでの紳士としての伝統なのです」
干場「僕も同じです。ポケットチーフは触らせません(笑)。ところで、エレガントで素敵な紳士が持つべき物って何でしょうか?」
ニコラ「難しい質問ですね~(笑)。自分が心地良いと感じるものでしょうか……。スーツを着ていてもぎこちない人を多く見かけますが、私にとってのエレガンスは何を持つかではなく、いかに着るか? どう着るか? なのです。フォーマルな場面では必ずカフリンクスをつけます。チラリと見える袖口は意外にも目立ち、その人らしさを印象付けるものです。私は、もちろんティファニーのものをセレクトします。スーツを選ぶときは必ずシングルの2つボタンにします。ビジネスからフォーマルまでスタイルが作りやすく、エレガントなので。男性のアクセサリーは、少ないアイテムで差異をつけられる部分。素材やカラー、靴を選ぶ以上に人とは違う自分を作るという要素になるので気を使っていますね。そして、ときどきちょっとハズしたりします。ソックスの色だけをハズしてみたり。そんな遊び心もときには大切なのです」

干場「確かにそうですね。細かい部分にこそ、その人のスタイルが見えるので重要ですよね。僕も同じ考え方です。ところで、カジュアルなスタイルはどんな感じなのでしょうか?」
ニコラ「休日はホッとしたいので、なるべくリラックスしたものを着ます。できれば何も着たくないくらい(笑)。靴も履きません。毎日スーツなので力を抜いてゆっくりとしたいのです。ON/OFFをしっかり分けることで装いに対するメリハリをつけることができるのです。デニムやTシャツは一番楽なので飛行機で移動する時には欠かせないマイトラベルウエアです」
干場「ON/OFFのメリハリをつけることが大事なんですね。僕は、最近休みなく働いているので、ずっとON。メリハリがないので反省です。それでは、素敵な大人になんてなれないですからね(笑)。ところで、現在開催中のティファニーウォッチアーカイヴ展の見どころを教えていただけますか?」
ニコラ「ティファニーのアーカイヴ総収集品数は400を超えますが、今回は選りすぐって、主な柱ともいえるピースを持ってきました。特にウォッチメイキングの重要な柱にあたるものを見ていただけるはずです。中でもポケットウォッチは特別なシリーズで19世紀に作られたものです。アーリーイヤーズと呼ばれているシリーズでウォッチメイキングの初期とされるもの。ティファニー社のジュネーブ工場で作られたものなどが代表的です。懐中時計は、19世紀には人気の高い時計でした。当時の広告ではさまざまなアクティビティに使える時計として紹介されています。レースにも、狩りにも、セイリングのときにも…。当時の富裕層の男性たちが盛んに行っていたアクティビティに対応できる時計として大人気だったのです。女性の襟元に着けるラペルウォッチの中には“生け花ウォッチ”というのもあります。日本人がオーナーであったとされています。右手のものは王冠をイメージしたももの。アメリカは王族がいないので、王冠が富の象徴とされていたのです」

干場「本当に素晴らしいコレクションですね。特に、ポケットウォッチは欲しくなりますね。とってもエレガントです。ティファニーは、今までどんな男性がつけてきたのでしょうか?」
ニコラ「ティファニーで時計を作るということは、とても高価とされていたので、その対価が支払える富裕な人に限られていました。宝石やゴールドなど、素材も価値に反映されていたので、当時の富裕のファミリーはこぞって購入していました。フランクリン・ルーズベルトを代表とし、任期中の大統領が着用したのは計7人います。とても有名なギャングスターのサンダンスキーも着用していたという逸話もあります。その当時の美しいピースであること、クラフトマンシップによる最先端の技術、革新の結実でもあることがピースのバリューを高めることにもなりました。ぜひ多くの方にご覧になっていただきたいですね」
干場「このアーカイヴコレクションの数々は、アメリカ大統領をはじめ、アメリカを代表する富裕層の方々に愛されてきたティファニー社の歴史を感じますね。こういう素晴らしいものを見ると日本人の時計への価値感も変わると思います。“多くの粗悪なものより少しでいいから良い物を”、“移り変わる流行より普遍的で美しいものを”。僕が掲げている哲学が大切だということを改めて気づかせてくれる機会になりました。今回も素晴らしいお話、ありがとうございました。また来日したら、インタビューさせて下さい」
Photo:Kazuya Furaku
Text: Mariko Ikeda
ティファニーウォッチアーカイヴ展
「メイキングオブ『ニューヨーク ミニット』ティファニーアーカイヴに眠る至高のタイムピース」
【期間】
開催中 5月31日(日)まで 10:30~19:30(最終入場19:00)
※5月29日(金)は17:30に閉場
【場所】
ティファニー銀座本店3階ギャラリースペース
【問い合わせ】
ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク
0120-488-712
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