あかねさんは娘のギャン泣きには手の施しようがないということがわかると、自分の両耳を押さえて部屋の片隅で体育座りをするようになったという。
「泣き声を聞いていると頭がおかしくなりそうで、私自身も涙が出てきてしまうし、気がつくと大声を出していることも増えました」
例えば大声でどんなことを言ったのかを聞いてみると、あかねさんの目が泳いだ。
「泣き始めてすぐは『やめて』とか『なんでそんなに泣くの?』とか、そんな感じなんです。でもだんだん感情が高ぶってきて、『いい加減にしてよ』とか『いつまで泣いてんだよ』とか口調が荒くなったりします。苛立ちとかつらい気持ちが暴走して、止まらなくなってくるんです」
赤ちゃんの泣き声に対抗するように大声を出してしまうのは、そうでもしないと赤ちゃんに手をあげてしまいそうだったからだという。
「本当に正直に言うと、ベビーベッドのそばまで行って怒鳴ったこともあります。こっちが泣きたいんだよとか、黙って寝てなよとか」
あかねさんは涙を流した。
「私って、本当は悪魔みたいな女なんだなって思いました。赤ちゃんに向かって怒鳴るなんて、最低な人間だなって。でも、いけないと知りながら、娘が泣き出すと『どうせまた私も大声で泣いて喚くんだろうな』と諦めてしまうし、その通りになります。それで『ごめんね、ママひどいこと言ったね』って抱っこして泣いて謝るんです。最後は娘と2人で大泣き。そこしか行き着く先がないんです」
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