能登半島地震発生から1ヶ月超が経過した。住宅被害は、2万棟を超えるという。こうした大きな地震の後に必ずと言っていいほど、耳にするのが悪質なリフォーム業者の存在だ。危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。
「不安に乗じて必要のないリフォームなどを煽る、詐欺の手口です。国民生活センターもトラブルに対して注意するよう呼びかけをしています。すでに屋根の修理として数百万円を要求するような事例やブルーシートを取り付けるだけで10万円の請求を受けた事例など、卑劣な反抗が行われています」。
人の不幸に漬け込む、最低のやり口である。
「本当にそう感じます。ただ、震災に限らず、こういった詐欺は年々増加しています。知らず知らずのうちに契約をしてしまった、なんてことにならぬよう注意したいですね」。
今回は両親が最近多発している電話での光回線サービス勧誘に引っかかってしまったというある男性から話を聞くことができた。
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中寺憲文さん(仮名・52歳)には、離れた場所に暮らす80代の両親がいる。
「私は今、転勤で地方に住んでいます。両親は東京住まいです。認知症などの症状はありませんが、脚立からふらついて落ちたとか、薬が増えたとか、小さな問題が日々増えている、そんな状況です」。
高齢化が進む日本で多くの人が抱える問題だろう。
「私にも家族がいますし、簡単に両親と一緒に暮らすという選択はできません。ただ、いつかは面倒をみたいという想いもあります。今は元気ですが、突然体を壊すこともあるでしょう。そうなったときにどうするのか…考えても答えは出ません」。
そんな憲文さんのもとにある日、母から電話がかかってきたそう。
「母は困惑していて、話がよく掴めませんでした。整理しながら聞いていくとなにやら光回線のお知らせ電話がかかってきたと言うんです。相手はNTT東日本の子会社を名乗り、1ヶ月の利用料金が2000円ほど安くなると言ったそう。電話口に出たのは父で、父は言われるがままに、名前や生年月日などの個人情報を伝えてしまったのだが、大丈夫だったのだろうか?ということでした」。
憲文さんは、これが詐欺まがいのものだと直感した。
「母もそう思ったようで、父を責めたことから口論になってしまったんだそう。それで困って私に電話をしてきたようです」。
憲文さんは母に求められ、翌週末実家に帰ることにしたという。
「騙されていたら怖いとのことでした。ひとまず、会社名を聞いたので調べてみると代理店のよう。おそらく、契約が切り替わっているのでは?と思いましたね」。