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惜しかった!キャンドル・ジュン氏のワンオペ会見のズッコケ度

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講演、メディア出演、執筆などを通じて、炎上の「火消し」からフェイクニュース対策まで幅広く発信している小木曽健氏によるネットニュース分析、推察コラム。

日曜(18日)の昼、突如「キャンドル・ジュンが13時より会見」というキャッチーな速報が飛び込んできました。広末涼子のスキャンダルを身内が語る場。これ開始前から「キャンドル氏本人が受付を担当」とか「会場内のWiFiについて自らアナウンス」みたいな、ちょっと普通の会見とは毛色の違う情報が流れ出し、SNSをザワつかせていたんですが……。

実はこの会見、「危機管理」視点で学ぶべき手法が山盛りだったので、最初は凄く注目して見ていたんです(が、結果的には始まった途端にズッコケ、やっぱ広末涼子が選ぶ男は一味違うなあと妙に納得したのでした)。

まず会場受付も、会見前の「前説」も、まだ名刺を出していない人はいませんか~? という声掛けも、すべてキャンドル氏本人がやったという点。これは「ホームフィールドアドバンテージ」と呼ばれる非常に高度なテクニックです。

誰よりも早く会場に入り、記者席をうろつき、早めに到着した記者にはこっちから「今日はどうも」なんて声をかける。このような行動は「本日の主導権はホスト側にあります」という空気を作り出し、少なくとも記者が「少しやりづらい」状況にすることが出来ます。ここ大事です。

また会見で必ず見られる「入場シーン」が今回は無かったんですね。あのシーンって取材する側にとって凄く重要で、入場し、待ち構えたカメラマンからフラッシュを浴び、挨拶で頭を下げた瞬間、主導権が記者側に渡る、ホストなのにアウェイが確定するのです(だから特に「謝罪会見」では入場シーンが欠かせません)。

今回はそんな入場シーンもなく、謝罪会見でもなく、「主導権はキャンドルだよね」というホスト超有利な空気感でスタートした、はずなのに……!!

がんばって!キャンドル!

会見始めから、「夜の街でしか生きてこなかった」「街を照らすのはやめた」という自分語りや、「反核・反戦・反原発・SGDs・憲法」の話を延々として、しまいには感極まって泣いちゃうなど、もう秒で完全な面白コンテンツになってしまった。せっかくのアドバンテージが吹き飛んだ瞬間でした。惜しかったよキャンドル。

ですがキャンドル氏、ここで終わりません。なんと記者との一問一答を、質問者がキャンドル氏と並んでおこなう前代未聞の「徹子の部屋スタイル」で敢行。新しいよキャンドル。実はこれもかなり高度なテクニックです。

キャンドル氏に招かれ、いきなり衆人環視の壇上に放り込まれた記者は完全なアウェイ状態。キャンドル氏が「マスク取ってもらえますか?」と促し、記者もそれに従うなど、もはや「主導権はキャンドルだよね」を知らしめるセレモニーでした。凄いぞキャンドル。

しかもこの形式、相手にする記者は1人で良いワケですから、会見でよくある「矢継ぎ早の質問」を回避できる。これらすべて考えてやっているのなら物凄い策士なんですが……たぶんこれ、氏の計算とかではなく結果的にそうなっただけみたいです。

だって脈絡のない話や聞かれてもいない話を、渡部陽一ばりのスローペースで延々と話す。途中でポケットのタイマーが鳴っちゃう。グダグダな部分は爆裂的にグダグダで、「彼が主導」というより記者がペースを乱された、というのが実際でしょう。そうだったのかキャンドル……。

記者が時間を気にして自ら質問を終わらせたり、じゃあ次はあなた、と「記者が記者を指名」するなど、会場全体に「フォローしないとまずいぞ」という空気感を作り出したのは、氏の「悪い人ではないんだろうな」という人柄なのかもしれません。

終わってみたら、記者サイドは「思わぬ一言を引き出す戦術」を全くやれぬまま会見終了。この会見、果たして勝者はいたのでしょうか。面白かったけど。

やっぱ広末涼子が選ぶ男は一味違うなあ。

 

Text:小木曽健(国際大学GLOCOM客員研究員)

※本記事のタイトルはFORZA STYLE編集部によるものです。

 



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