「『〇〇ちゃん(いとこ)のダンナさんの稼ぎは、真理奈のダンナの稼ぎの3倍以上はあると思うわ。あの子はブランド物しか買わない”目利き”だから、良いものしかくれないはず。
そんなありがたい話を断るなんて、あなたひがんでるの?』と言われてしまいました」
自分が大切にしている価値観を受け入れてもらえずに「ひがみ」と取られ、しかも無関係な夫の収入をディスられた真理奈さんは、怒りを超えて呆気に取られたという。
「要らなきゃ黙って売ったっていいじゃないの、と母は言うんです。たとえ価値観が違っても、いとこがくれたものを黙ってお金に変えるなんて……。私にはありえない話です。
大量消費社会万歳というタイプの母なので、私の考えなんて理解してはくれませんね」
今回に限らず、「真に快適な暮らし、環境問題や大量消費社会について考える」などと言い出すと未だに煙たがられることもある、と真理奈さんはため息をつく。そのため、母親にもほとんど反論しなかった。
「自分が欲しいものは誰でも欲しいと思い込む人がたまにいるんですが、本当に何とかしてほしいですね」
いとこから送りつけられたダンボール3つ分の衣料品をようやく寄付し終えた真理奈さんは、強い徒労感を感じたという。
それでも今後も地道に、大好きな服を大切にできる暮らしを続けていきたいと語った。
*この記事は取材に基づくものですが取材対象者や登場人物のプライバシー保護の観点から構成・編集に配慮しております。
取材・文 / 中小林亜紀
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