麻美さんは慌てて近くの玩具店に走った。しかし個人経営の玩具店は、早々に店じまいをしていた。麻美さんは一縷の望みをかけて、電車で30分ほど離れたところにある繁華街のショッピングセンターに向かった。
まだサンタクロースを信じている小さな娘に、悲しい思いだけはさせたくない。希望のおもちゃでなくても、せめて彼女が喜びそうな服かグッズがあれば……。
何とか代替品を用意して、麻美さんが帰宅したのは3時間後。すでに香澄ちゃんは、泰典さんや義母とクリスマスパーティーを終えて、眠りについていた。
「灯りの消えた玄関や、食べ散らかされたチキンやケーキを見て、胸が痛いほど悲しくなりました。でも、香澄へのプレゼントを買ってこられたので、まだ安心できたんです」
ところが、事件はそれだけでは終わらなかった。翌朝、枕元のプレゼントを見た香澄ちゃんは、明らかにがっかりしていた。
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