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BTSも応援!韓国の車ヒョンデは日本で売れるのか?

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安全装備や自動運転でますます高額化している現代のクルマ。上手に購入する方法は? さらに、所有してからも様々なトラブルやアクシデントが起きるのがカーライフ。それら障害を難なくこなし、より楽しくお得にクルマと付き合う方法を自動車ジャーナリスト吉川賢一がお伝えします。

2022年2月8日、韓国の自動車メーカー「ヒョンデ(HYUNDAI)」は、バッテリーEV1車種とFCV1車種、合計2車種を日本に投入すると発表した。2009年に日本市場から撤退したヒョンデが、なぜ再上陸することになったのか。また、ヒョンデの再上陸は、国産メーカーを脅かす存在となり得るのか。

 

■競争力が高いIONIQ5

今回、ヒョンデが日本に投入するのは、ステーションワゴンタイプのバッテリーEV「IONIQ5(アイオニック5)」と、SUVタイプのフューエルセルEVの「NEXO(ネッソ)」、この2車種だ。

今回日本導入となったヒョンデのバッテリーEV「IONIQ5」。ボディサイズは、全長4635mm×全幅1890mm×全高1645mm、ホイールベースは3000mmのステーションワゴンだ。

IONIQ5には、航続距離498km(WLTCモード)のベースグレード(479万円)と、航続距離618kmのロングレンジ仕様がある。ロングレンジ仕様は、「Voyage 2WD(519万円)」、「Lounge 2WD(549万円)」、「Laounge AWD(589万円)」と分かれており、補助金を考慮すれば400万円程度で手に入れることができる。

ドット柄でできたブレーキランプなど、リアスタイルも先進的でカッコいい

国産メーカーでライバルとなりうるバッテリーEVは、日産アリアや、間もなく販売開始予定のスバル「ソルテラ」/トヨタ「bZ4x」など。アリア(2WD)は、航続距離450kmで540万円~、ソルテラ/bZ4x (2WD)は航続距離500km(4WDは460km)で、価格はアリアと同等と予測されており、IONIQ5は、これらよりも航続距離が圧倒的に長いにもかかわらず、20万円も安いことになる。

FCVの「NEXO」。ボディサイズは、全長4670mm×全幅1860mm×全高1640mm、ホイールベースは2790mm。

一方、NEXOのライバルは、現時点でトヨタ MIRAIのみだ(ホンダクラリティFCVは2021年9月に廃止)。NEXO(776万円~)の航続距離は820kmに対し、MIRAI(710万円~)の航続距離は850km。しかも、MIRAIは、NEXOよりも車格が1クラス上にもかかわらず70万円もお得。IONIQ5に関しては、国産車よりもヒョンデのほうがコスパに優れるが、NEXOに関しては国産車に軍配が上がる、といった状況だ。

CセグメントのクロスオーバーSUVとしてデビューするNEXO。1度の充填で、航続距離820km(WLTCモードで)を達成する。

 

■すぐに脅威とはならない二つの理由

ただ、筆者は以下の理由から、国産車にとって、ヒョンデの再上陸は(少なくとも所有車としては)脅威とはならないならないと考える。

理由その1:ほぼゼロ発進となる、ヒョンデブランドの認知

「ヒョンデ」という新しい呼び名の認知が、ブランド構築のための第一のハードルだ(以前は「ヒュンダイ」だった)。純粋なクルマの良さよりも、ブランドを重要視することが多い日本人は、聞き慣れない「ヒョンデ」に、初めは見向きもしないだろう。品質が高くても、韓国製品というだけで眉を顰める日本の中高年も一定数おり、そうした方々には、購入リストにすらあがらない。

IONIQのインテリア。メーターとセンターディスプレイまでが繋がった、デジタルモニターが特徴。

理由その2:オンライン販売はネックになる

コロナ禍において見直されたオンライン販売は、ディーラー配備にかかるコストや人件費など、固定費を抑えられる点ではグッドアイディアだ。だが、クルマには故障や事故がつきもの。いざという時に相談するディーラーや担当者がいないというのは、心もとないものだ。

NEXOのインテリア。センターコンソールに多くのスイッチが並ぶ。

テスラもオンライン販売を実施しているが、日本国内にテスラのサービスセンターの数が少なく、多くのユーザーが修理や整備などで困っているといった話を聞く。ちなみに、オンライン販売を導入した日産のアリアは、全国の日産販売店と連携を取っているため、安心感の高さは、従来の店舗での車両購入と同じだ。

 

■長期的にみれば脅威となる可能性も

ヒョンデとしては、まずは日本市場での、IONIQ5とNEXOの反応を見ることが最初の戦略だ。日本市場で輸入バッテリーEVが売れるのか、韓国車に対する反感がどの程度解消されているのか、そのあたりの反応をみて、進退を考える予定かもしれない。だからこそ、再撤退となったとしても、最もダメージが少ない状態で再上陸したのだろう。

だが、最初からカーシェアも併せて導入したところはさすがだ。サービスの利用者が、ヒョンデ車に触れて魅力を見出し、その後、実際にクルマを購入する流れが起こる可能性もある。ユーザーは、一時的にシェアするだけなら、ブランドも気にならないし、クルマの購入や整備の必要なくなる。結果、ヒョンデのクルマを拒絶する理由がなくなり、乗る機会も増えるだろう。そうなるとヒョンデは、第2のテスラのように、徐々に売れ出す可能性は十分にあり、国産メーカーにとって脅威となり得る。

ここからは余談になるが、日産が世界初の量産バッテリーEV「リーフ」を発売した2010年当時、日本はバッテリーEV先進国だった。だが現在では、バッテリーEVの量産開発だけを見れば、日本車メーカーは後れをとっている。日本はバッテリーEVの開発と同時に、「超」効率の良いハイブリッド技術を確立していったのだが、バッテリーEVほどの派手さがない分、地味な存在だ。

だが、発電方法の7割を火力発電が占める日本では、電力発電と車両製造、走行までを加味したCO2排出量(Well to Wheel)は少なくなる。いままたバッテリーEV先進国になる必要は全くないと思うのだが、日本メーカーが技術で後れているようにされているのは、何とも悔しいところだ。

Text:Tachibana Kazunori,MMM-Production
Photo:HYUNDAI
Edit:Ogiyama Takashi

ヒョンデの公式サイトはこちら

BTSも応援するヒョンデのYouTube動画はこちら

 



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