ガラパゴス上等。ニッポンの軽自動車は極上のライフスタイルカーです!
昨年末にやばいニュースが飛び込んできました。ダイハツが軽商用車の新型『ハイゼット カーゴ』、『アトレー』を17年ぶりにフルモデルチェンジ。派生モデルを含め新開発プラットフォーム(DNGA)を投入し発売するという。無論、先をにらんで予防安全装備も普通車と遜色ないレベルに。少々価格は上昇しますが軽自動車こそ安全装備が必要です。
自動車趣味人が注目すべき今回のニュースは、そのハイゼット(バン)に『デッキバン』を新たにラインナップしたこと。スケール感は異なりますが、いわばタブルキャブのピックアップのような新規車種。趣味性、利便性ともにスタイリッシュに見えます。ただし、不人気となれば早々に打ち切りとなるでしょうから、ブツヨクMAXな方はお早めに決断を。
さらに期待するのがこのタイミングでマイナーチェンジを行った軽トラの『ハイゼット トラック』です。基本的には安全装備が強化される法改正をにらんで先手を打った格好ですが、同時に新開発FR用CVTを投入。上級グレードにLEDヘッドライトを装備するなど、ライフスタイル系ユーザーを取り込む工夫を施しました。
軽トラ戦線におけるハイゼットのライバルは、言わずと知れたスズキのキャリイ&スーパーキャリイです。個人的にはバイクで慣れ親しんだスズキを応援したい気持ちがあるものの、ハイゼットの新開発CVTはデフロック機構をもつスグレモノ。もはやく苦渋の選択で5速MTを選ぶ必要はありません。
キャリイの5AG搭載車はクラッチ操作のいらない5速MT車なれどマニアックな一面も。ならばATをと思えば3速ATと商品力に欠ける。タフな作りと頭では理解していても、買い増す趣味車と考えると魅力に欠けます。無論、スズキも黙っちゃいないでしょうが、キャリイがフルモデルチェンジするのは少なくとも半年先と予想。モデルサイクルがあるとはいえ出遅れ感はぬぐえません。
ダイハツが軽自動車市場で明らかな変化を見せたのは、1998年にトヨタの連結子会社になってからのこと。打倒ワゴンRの旗印だったムーブは異常なまでに質感が向上。トール系ワゴンというジャンルを開拓したタントが売れまくるなど、商品企画・開発・宣伝・販売と誰よりもトヨタのノウハウを吸収し具現化してきました。
公式HPがまた秀逸です。「カーラインナップ」を開くと、「乗用用途」、「福祉車両」、「商用用途」、「特装車」の4カテゴリーが並び、それぞれを「価格が安い順」、「燃費が良い順 JC08モード」、「燃費が良い順 WLTCモード」、「車高が低い順」に条件設定可能に。欲しいクルマの基準は人それぞれなれど、さすがダイハツ軽自動車ユーザーの心理がわかっていると思います。
スズキとのライバル関係でいえば、アルトに対するミラがあります。アルトは新型がデビューしていますが、次期ミラもそう遠からず発表されるでしょうからコチラも期待大。個人的には秀逸なミニマルデザインの『ミラ・トコット』が好きですが、昨今のトレンドを考慮すればミラシリーズも大きく進化するでしょう。
いまや軽自動車市場はダイハツとスズキが双璧です。トヨタやマツダ、スバルへのOEM供給車も購入時には見逃せない選択肢となります。そして、日産・三菱のアライアンスモデルがこれらに加わります。いずれにせよ、ライフスタイルに応じた個性化と安全対策が進む軽自動車に興味が尽きない2022年なのです。
Text:Seiichi Norishige