誰かきちんと保護してくれる方がいらっしゃったら寄贈しても良いかも
『MEN’S Precious』を中心に、数々のカタログなども手掛け、ファッションエディターとして活躍する山下英介さん。
膨大な数を所有してきた山下さんが、なかでも捨てられなかった服をご紹介する企画の第8回目は、アクアスキュータムのシルク100%ステンカラーコートです。
このコートは、ぼくが持っている服の中で最も歴史的価値のあるものです。シルク100%で、裏地にも表地と同じ生地を使う無双仕立てで、ロイヤルワラントも
これはチューブ(TUBE)の斎藤さんが、2011年にオフィスでガレージセールをしていた際に10万円くらいで買わせて頂いたんです。
震災の年なんでよく覚えているんですが、その頃は一時期ハマっていた定番服をすごくピタッと着るピッティっぽい格好にちょうど飽き出していて、ゆったりとした大きめのコートを欲しかったので、気分的にもピッタリだったんです。
おそらく1930年代頃のものなんで元値は不明です。ただ、このコートを着ていると海外のホテルでの扱いが明らかに違って、なるほどと思いました。
結構着込んでいるので、アームホールなどステッチが飛んでしまっているところも多いんですが、自分で着るから自身でかがったりもしています。
とっても歴史的価値のあるものなので、もし誰かきちんと保護してくれる方がいらっしゃったら寄贈しても良いかとは思っています。普通に着ちゃってるんで、引っ掛けたりして破けてしまうのも怖いですしね。
Photo:Shimpei Suzuki
Edit:Ryutaro Yanaka
山下英介
ファッションエディター
大学卒業後いくつかの出版社勤務を経て、2008年からフリーのファッションエディターとして活動。ファッションディレクターとして参画している『MEN’S Precious』を中心に、数々のカタログなども手掛ける。背景にクラシックな文化を感じさせるものに興味を持ち、まだ知られていない世界の名品やファッション文化を伝えるべく日々精進中。1976年埼玉県生まれ。