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日本の「マクドナルド広告」が海外で炎上?! 欧米人が受けた衝撃とは……

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講演、メディア出演、執筆などを通じて、炎上の「火消し」からフェイクニュース対策まで幅広く発信している小木曽健氏によるネットニュース分析、推察コラム。

まあ正確には炎上してなかった(後述)のですが、それでも「あの広告」を見た欧米人は相当ショックを受けたようです。まずは話題となったCMを見て頂きたいのですが、ネットで

「特別じゃない、しあわせな時間。」

と検索すると、日本マクドナルドがSNSに投稿したアニメ広告が見つかります。いや、ホントなんてことない広告なんですよ。アニメキャラの若い夫婦と小さな娘さんが、3人で旨そうにポテト食ってるだけ。

ですがこの投稿、閲覧数が1億2千万、「いいね」が60万越えという鬼バズり状態となっており、しかもぶら下がっているコメントの多くは欧米からの投稿なんですね。

「素晴らしい!これでいいんだよ」

「私の国(カナダ)で、この広告は無理だ」

「……羨ましい」

この何気ない広告に対し、ナゼみなさんが「日本SUGEEEE」と言っているのか。実は彼らの国でこのCMを流すと、

家族=幸せという勝手な価値観を押し付けるな!

黒人が出て来ないのはナゼ?

男女カップル? LGBTに対する配慮はないの!?

とタコ殴りにされるそうで、つまり面倒臭い方面のお話なんですね、なるほど(そしてこの「海外の大反響」が、なぜか日本国内ではネット炎上と解釈され、話題となっていました)。

実際、近年のハリウッド映画やディズニーアニメ、テレビドラマには、LGBTやマイノリティー人種がさしたる文脈もなくぶち込まれ、その画面からは「私たちの多様性!!先進的で素晴らしいわ」という圧が溢れ出ています。

あ、言うまでもなく多様性は大事ですよ。でもそれって、不自然なキャスティングによって得られるものなんでしたっけ?

確かにアナタ方の社会は、街を歩いているゲイカップル(時には非白人も)が、何の謂れもなくいきなり殴られ、流血し、それが強く咎められない時代が長かったワケだし、その点は大いに反省すべきだと思いますが、でも多様性って映画のキャラでツジツマを合わせるような、多分そういう話じゃないと思うんですよね。

だって、そんな風に頑張った結果「男女の夫婦とその子供がポテトを食べている」だけの光景をアウトとする世界を、ホンの一瞬で作り上げてしまったワケですから。

最近は欧米のゲームに出てくる女性キャラクターですら「あまり可愛くない」デザインに寄せられ始めています。ルッキズムと批判されることを恐れ、ワケわかんない状態に陥っているのです。もはや表現の自由の「自殺」とも言えるこの状況、いったい誰からの批判を恐れているのでしょう。

みなさん、もうお気づきですよね。

「ああ……きっと声のデカい少数派が、ノイジーに暴れて、妙な着地をしてしまったんだろうな」

可哀そうなマルちゃん

実は以前、日本国内でも同じような騒動が起きていました。東洋水産「マルちゃん正麺」の広告マンガで、若い父子が、母親の外出中にインスタント麺を作って食べたというエピソード。なぜかこれをバッシングする連中が現れたんですよ。えっ?

批判の的となったのは、帰宅したお母さんが、キッチンにあったラーメンの空袋と食器を見て「ラーメン食べたのね」と気付き、夫婦並んで洗い物をするシーン。

「外から帰ってきた母親に洗い物をさせるなんて」

「男は作るだけか!」

うーん、そうですか。洗い物は夫婦でやっているし、空袋や洗い物は「あなたの外出中にラーメンを食べたよ」を説明するための単なる作画テク。つまり批判自体が相当マトハズレだったのです。

世間からはあまり相手にされず、結果的に東洋水産も「相手にしない」と決め、幸いなことにそのマンガは今でも掲載されております。東洋水産はマッチョで良いですね。

何度も言いますが、多様性は大事。でもそれは、私たちが相互に譲り合い、それなりに痩せガマンすることで初めて成立するものです。少なくとも声のデカい少数派によって作られるものではありません。

お腹が空いたのでラーメンでも作って食べましょうかね。

Text:小木曽健(国際大学GLOCOM客員研究員)

※本記事のタイトルはFORZA STYLE編集部によるものです。


 



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